2019 Fiscal Year Annual Research Report
生命の連続性に迫る―減数分裂の開始・進行の分子機構の解明―
Project/Area Number |
19K21196
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Azabu University |
Principal Investigator |
前澤 創 麻布大学, 獣医学部, 講師 (90548174)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 生殖細胞 / エピジェネティクス / クロマチン / 精子形成 / エンハンサー / A-MYB |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、哺乳類雄性生殖細胞の分化に伴うエピゲノム変化及びクロマチン構造変化の解明を目的とした。マウス精巣から精子形成期の代表的な分化段階の生殖細胞を単離し、活性化エンハンサーの指標であるヒストン修飾H3K27acのゲノムワイドな分布をChIP-seq法により明らかにした。さらにROSEアルゴリズムを用いて生殖細胞特異的なスーパーエンハンサーを同定した。特に、減数分裂期移行後に多くのスーパーエンハンサー(meiotic SEs)が形成されており、その近傍には、精子形成に必須の遺伝子が存在していた。減数分裂期以降の特異的なエンハンサー領域やオープンクロマチン領域に含まれる転写因子結合モチーフの探索の結果、生殖細胞特異的な転写因子であるA-MYB結合モチーフが同定された。ChIP-seqから、A-MYB がmeiotic SEs内に存在することが示された。A-myb機能欠失マウスの精母細胞におけるH3K27acの分布を解析した結果、meiotic SEsでH3K27acの集積が減少していたことから、A-MYBがmeiotic SEsの形成に機能することが示唆された。未分化精原細胞におけるmeiotic SEs領域のエピジェネティックな状態を解析した結果、H3K4me2が集積しており、減数分裂期移行の精母細胞や精細胞では減少していた。すなわち、meiotic SEsは未分化精原細胞においてH3K4me2の集積を伴う準備状態にあることが示唆された。本研究から、meiotic SEsの形成機構、及び標的となる精子形成関連遺伝子群の発現制御機構が明らかになった。今後、減数分裂期へ分化が進行する過程をより詳細に解析することにより、体細胞型スーパーエンハンサーの消失及びmeiotic SEsの活性化について、段階的な分子機構を解明できると期待される。
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