2019 Fiscal Year Annual Research Report
被子植物における新規の送粉シンドロームに関する進化、生態学研究
Project/Area Number |
19K21198
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
望月 昂 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (80822775)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 送粉生態学 / 収斂 / シンドローム / キノコバエ / 花香 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、キノコバエに送粉される複数の植物が共有する、暗赤色の平たい花という特徴的な花形質が新しい送粉シンドロームではないかと仮説を立てた。少なくとも3種がキノコバエに送粉されるニシキギ属をモデルとし、キノコバエ媒の送粉様式の獲得に伴って花形質が進化するかどうかを検討した。 国内外に産する計12種の送粉者、花形質、花の匂いを明らかにした。それらを含む分子系統樹を用いて解析を行ったところ、キノコバエ媒と花形質の間には強い相関があることが明らかになった。本研究は、新しい送粉シンドロームを見出しただけでなく、花の匂い・花形態・色と送粉者のクリアな関係性を示した重要な例である。 キノコバエは双翅目昆虫・ハエの一群であり、体長5mmほどと送粉者としては微小な昆虫であるものの、12科を超える植物がキノコバエに送粉される。チャルメルソウ属では、口吻の長いキノコバエに送粉される植物は筒状の花をもつことが示唆されていた。本研究は、形態だけでなく、花の匂い、色と送粉者の関係性を示すことで、キノコバエが被子植物の花に特徴的進化をもたらす重要なグループであることを示した。ハナバチ媒やチョウ媒などこれまで長く知られてきた送粉シンドロームには新しいグループが存在すること、微小な送粉者に対してすらそれが起きることを示した本研究は、送粉生態学において大きなインパクトをもっている。 これらの成果は2つの国内学会で発表をし、国際学会で発表を行う予定である(受理済み)。なお、予定していた国際学会は2020年8月開催予定であったが、コロナウイルス対策のため2021年に延期された。また、これらの成果は現在論文として出版を目指している。
|
Research Products
(3 results)