2019 Fiscal Year Research-status Report
微生物食者の食物年齢から土壌食物網の生態系機能を解き明かす
Project/Area Number |
19K21201
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Forest Research and Management Organization |
Principal Investigator |
藤井 佐織 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (50648045)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 土壌動物 / トビムシ / 放射性炭素同位体 / 根滲出物 / 形質アプローチ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、物質循環の主たるプロセスである有機物分解を担っていると考えられているにもかかわらず、各分類群の食性が依然分からないために生態系機能がブラックボックスとして扱われたままである土壌動物に対して、放射性炭素同位体を用いた食物年齢の特定による利用炭素源の理解からその機能を明らかにしていこうというものである。本年度は、昨年度に引き続き、2019年4-5月の間、京都大学フィールド科学教育研究センター上賀茂試験地において放射性炭素同位体測定用の土壌動物サンプルを可能な限り採集した。6月からは、5カ月間にわたって別課題・別予算による海外渡航により本研究を中断したが、6月までに野外で収集した土壌動物各分類群のサンプルについて、秤量したところ、放射性炭素同位体測定に足る量が採取できていたので、サンプル採集は研究中断前までで終了した。研究中断後、11月より総合地球環境学研究所で放射性炭素同位体比測定の前処理であるグラファイト化処理を行い、安定同位体比測定も行った。2020年2月に放射性炭素同位体測定を加速器分析研究所に依頼し、3月末に各分類群の放射性炭素同位体比を得た。結果の詳しい解析は今後の課題であるが、トビムシ目が利用する食物の食物年齢が種によって異なっていること、これまで炭素安定同位体比と窒素安定同位体比から推測されてきた各土壌動物の食性が食物年齢から捉えられるばらつきを捉えきれていないこと等が明らかとなった。また、4-5月には、下記に記載したトビムシの形質情報に関するデータペーパーのリバイズにも取り組み、Ecological Research誌に無事受理された。この情報は後に放射性炭素同位体の値と形態形質情報の関連性を評価するのに役立つ予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2019年6月から11月にわたって、OECD国際共同研究プログラム予算による海外における研究滞在があり、本課題を一時中断したため。
|
Strategy for Future Research Activity |
放射性炭素同位体比に関する結果の解析を行い、算出した放射性炭素同位体比と形態形質の相関関係について解析等をすすめる。今年度中に成果の発表を目指す。
|
Causes of Carryover |
令和元年6月1日~令和元年11月2日の間、海外滞在を伴った別予算・別課題の研究遂行のため、本課題の遂行を中断したため。データ解析・論文執筆のための研究打ち合わせに関わる旅費や成果発表に関わる旅費・英文校閲費等に使用予定である。
|