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2019 Fiscal Year Research-status Report

房総半島南部における最終氷期末期以降の照葉樹林の分布拡大に黒潮が与えた影響

Research Project

Project/Area Number 19K21202
Allocation TypeMulti-year Fund
Research InstitutionNatural History Museum and Institute, Chiba

Principal Investigator

西内 李佳  千葉県立中央博物館, その他部局等, 研究員(移行) (70828805)

Project Period (FY) 2019-04-01 – 2021-03-31
Keywords完新世 / 房総半島 / 花粉分析 / ボーリングコア
Outline of Annual Research Achievements

本研究は、最終氷期末期以降(約1万年前以降)の地層に含まれる植物化石(主に花粉化石)に基づいて,照葉樹林の成り立ちに黒潮が与えた影響を明らかにすることを目的として行われた.2019年度は,房総半島南部の外洋側である千葉県南房総市の丸山川低地を対象として,採取した試料のサンプリング,室内作業を行った.
丸山川低地の2地点(丸本郷地区,西原地区)で採取したボーリングコア試料について,年代測定用の試料サンプリングを行った(2019年7月).年代測定の結果,丸本郷地区で採取した堆積物は,約8,500年前以降の縄文時代の河成段丘堆積物であることが明らかになった.西原地区で採取した堆積物は,段丘に囲まれた狭い谷の中の厚さ14 mの草本質泥炭層であり,約11,000年に渡って湿地環境が保たれていたことが明らかになった(2019年10月).既に採取済みである房総半島南部の東京湾側の館山平野のコア試料は約8,800年前以降の海成層である.同時代の,河川,湿地,海,といった様々な堆積環境の試料を分析することによって,植生の空間的な分布の推定に繋げることができる.
以上の成果や進捗状況,研究の背景などについて,千葉県立中央博物館房総の山のフィールドミュージアム「しいむじな」に報告した(2019年10月).また,最終氷期以降の照葉樹林の形成過程,黒潮の過去の流路,照葉樹の花粉形態や種実形態などについての文献を調査・収集した.
現在は,館山平野と丸山川低地のコア試料の実験・分析を進めると共に,成果の公表の準備を行っている.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

実験設備などの研究環境の整備に予想以上に時間がかかってしまい,採取済の館山平野のコア試料の分析が遅れている.例えば,使用薬品のうち特に危険な薬品に耐えうるドラフトチャンバーについて,館内で使用できるように業者に依頼したり,県の対応部署と協議したりした.その結果,使用可能な状態まで整備することができた.しかし,2019年度に入ってから,所属機関である博物館の2019年度企画展示を担当することが決まり,年度後半は特に展示準備以外の業務がほとんどできない状態となった.当該展示はオリンピック・パラリンピックに関連して急遽決まったことであり,研究費助成が始まった当初には予測できない稀なケースであったため,2020年度まで補助期間を延長する申請を行い,受理された.

Strategy for Future Research Activity

今後は,館山平野1地点と丸山川低地2地点の計3地点のコア試料の植物化石分析(主に花粉分析)を進め,堆積環境と周囲の地形を考慮し,それぞれの地点周辺での照葉樹林を含む植生の空間的な分布とその変遷を明らかにする.この結果と,気候や黒潮の変動を比較し,植生変遷との関係について考察する.
しかし,新型コロナウイルスの感染拡大の影響で,所属機関の博物館では業務量が増加した上に,4月中旬から交代勤務によって館内に入れる日が限られてしまっている.この状態が数ヶ月続く場合は,花粉分析試料として最も適した泥炭層であり,最も古い年代までの堆積物が採取できている西原地区のボーリングコア試料を優先的に分析し,植生変遷と黒潮の関係を議論する予定である.

Causes of Carryover

2019年度に入ってから,所属機関である博物館の2019年度企画展示を担当することが決まり,年度後半は特に展示準備以外の業務がほとんどできない状態となった.当該展示はオリンピック・パラリンピックに関連して急遽決まったことであり,研究費助成が始まった当初には予測できない稀なケースであったため,2020年度まで補助期間を延長する申請を行い,受理された.
2020年度は,遅れている花粉分析を進め,堆積環境と周囲の地形を考慮し,照葉樹林を含む植生の空間的な分布とその変遷を明らかにする.この結果と,気候や黒潮の変動を比較し,植生変遷との関係について考察する.国内学会での研究発表,国内研究雑誌への論文投稿を予定している.

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Published: 2021-01-27  

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