2021 Fiscal Year Annual Research Report
房総半島南部における最終氷期末期以降の照葉樹林の分布拡大に黒潮が与えた影響
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19K21202
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Research Institution | Natural History Museum and Institute, Chiba |
Principal Investigator |
西内 李佳 千葉県立中央博物館, その他部局等, 研究員(移行) (70828805)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 完新世 / 房総半島 / 花粉分析 / ボーリングコア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、千葉県房総半島南部の2地点の最終氷期末期以降(約1万年前以降)の地層に含まれる植物化石(主に花粉化石)に基づいて、照葉樹林の成り立ちに黒潮が与えた影響を明らかにすることを目的として行われた。同時代の、河川、湿地、海といった様々な堆積環境の試料を分析することによって、植生の空間的な分布の推定に繋げることができると考えられる。 2021年度は、房総半島南部の外洋側である千葉県南房総市の丸山川低地で採取したボーリングコア試料と、東京湾側の館山平野のボーリングコア試料の実験・分析を進めた。また、館山平野を流れる河川沿いの露頭において数千年前の大型植物化石の調査を行った。花粉化石の同定は属レベルに留まるが、大型植物化石は種まで同定できることが多いので、当時どの植物が生えていたのかを詳細に明らかにすることができる。ボーリングコアの花粉化石群からは落葉広葉樹林が推定されたが、同時期の大型植物化石の分析結果からは、現在の落葉広葉樹林であまり優占することのない樹種が数千年前は優占していた可能性が示唆された。 本研究では、海流の流路が植生に与えた影響に着目している。このような、地理学・地形学的な観点から古植生を明らかにしようとする研究は多くなく、資料の蓄積が必要である。長崎県五島列島は第四紀を通じて、回りを取り巻く海流や海水準の変動の影響を大きく受けてきた地域である。五島列島の福江島の大型植物化石の分析を行い、海流の流路や古地理の変化が植生に与えた影響を考察し、2件の学会発表を行った(2021年8月、10月)。
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Research Products
(2 results)