2018 Fiscal Year Annual Research Report
深海熱水噴出域細菌叢のメタエピゲノム解析から迫るDNAメチル化システムの進化史
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18H06080
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
平岡 聡史 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 海洋機能利用部門(生命理工学センター), 特任研究員 (70824423)
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Project Period (FY) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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Keywords | メタエピゲノム解析 / メタゲノム解析 / 環境微生物 / 海洋 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、深海熱水噴出孔表面の構造物に生息する細菌叢を対象に、ショットガンメタゲノムシーケンスを行い、DNAメチル化修飾の多様性や普遍性、そしてそのシステムの進化史を解析する予定であった。そこで、すでに採取され凍結保存されていた複数の熱水噴出孔由来の堆積物サンプルを利用して、市販のキットを用いたDNA抽出とサンプル調製を行った。その結果、十分量のDNAを回収することに成功したが、DNAサンプルのクオリティが非常に悪くなることが判明した。これは、おそらく熱水噴出孔という特異なサンプルに由来する、何らかの夾叉物の影響が考えられた。そこでDNA抽出の手法を一から検討しなおし、複数のDNA抽出キットや精製手法を試行した。そして最終的に、高クオリティのDNAサンプルを回収することができると思われる実験系を構築した。ところが、その手法から得られたDNAサンプルを利用して、実際にPacBioシーケンサーによるショットガンシーケンシングを行ったところ、予想に反してシーケンシングが正常に完了しないことが判明した。この理由としては、DNA抽出の検討後の手法であっても除ききれない夾叉物が存在する可能性の他、DNAそのものが環境特異的なダメージや、あるいは長期冷凍保存の影響によるダメージを受けている可能性が考えられた。このため、研究対象として既存の熱水噴出孔サンプルを利用することは困難であることが予想され、やむなく本研究対象を熱水噴出孔細菌叢から海洋表層細菌層に変更し、研究の方向性を修正することとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
DNA抽出実験の予想外の困難さやそれに伴うサンプル変更と研究計画の方針転換があったものの、効率的なDNA抽出に関する知見は得られている。また、新たな海洋サンプルについても取得できる見込みが立っている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、メチル化モチーフの実験的検証を進めていく。また、より詳細な進化系統解析を進めていき、研究成果を論文としてまとめる。この他、新たな試料の採取も計画しており、海洋微生物におけるメチル化モチーフとメチル化酵素遺伝子の分布について、生態学的な知見の集積にも努める。
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Research Products
(1 results)