2018 Fiscal Year Annual Research Report
睡眠の細胞内分子カスケードを担う新規制御分子の網羅的な探索と解析
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18H06083
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
北園 智弘 筑波大学, 国際統合睡眠医科学研究機構, 研究員 (40826517)
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Project Period (FY) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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Keywords | 睡眠覚醒 / 睡眠・覚醒 / 細胞内シグナル伝達系 / 細胞内シグナル / 細胞内シグナル伝達 / リン酸化酵素 / プロテオーム解析 / リン酸化プロテオーム解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、申請者が所属する研究室で新規睡眠制御分子として発見された、プロテインキナーゼSIK3の未知の下流分子カスケードを、網羅的に探索・解明する。申請者が所属する研究室と筑波大学IIISのリウ研究室との先行研究により、睡眠覚醒制御においてSik3遺伝子変異脳では約4000のリン酸化部位のリン酸化状態が変化することが分かったため、本年度は以下の2つの方法で、これらの部位の中からSIK3が直接リン酸化する部位を探索した。 所属研究室におけるこれまでの研究から、申請者らは、SIK3は睡眠覚醒制御以外にも様々な生命機構に関与していると推測している。そこで、申請者は所属研究室において見出された責任神経細胞集団特異的にSik3遺伝子変異を導入したマウスにおいて、リン酸化状態が変化しているリン酸化部位を調べることで、より睡眠に特化したリン酸化部位の候補のリストを得ることを試みた。その結果、上記の変異型マウスでは約500か所のリン酸化部位のリン酸化状態が変化していることが分かった。 次に、Sik3の機能獲得型変異脳とノックアウトマウス脳で逆のリン酸化状態の変化を示すリン酸化部位を探索することで、SIK3により直接リン酸化される部位を探索した。しかし、比較の結果、2種の変異型マウス脳でのタンパク質のリン酸化レベルは、非常に強い正の相関を示し、逆のリン酸化状態を示す部位は見つからなかった。このことは、Sleepy変異型マウスの表現型はSIK3の単純なキナーゼ活性の変化だけでは説明できず、例えば変異によって複合体形成などに変化が生じたことなども表現型の表出に影響を与えている可能性があることを示唆している。 本研究は、睡眠覚醒制御を担う細胞内分子機構の解析という、神経回路と睡眠物質に着目してきたこれまでの睡眠研究とは一線を画す研究であり、今年度の研究成果はその実体の一端を明らかにするものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概ね計画通りに進展している。プロテオーム解析やインタラクトーム解析による様々な変異型マウス脳を用いたデータの蓄積が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度までの研究に加えて、培養細胞系を用いたSIK3の基質の探索を合わせて行う。これらの結果を受け、 1)同定した基質について、基質のさらに下流の分子カスケードをin vitro、in vivoで検証し、SIK3の下流の分子カスケードを同定する。 2) 1)の解析で同定したSIK3の下流の分子カスケードの中から、マウスの脳波筋電図測定を用いた解析によって、睡眠覚醒制御で機能しているものを選抜する。
以上の解析により、睡眠覚醒制御における細胞内分子機構の全容を明らかにしていく。
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Research Products
(2 results)