2019 Fiscal Year Annual Research Report
マウス・マーモセット視覚野での動きの視覚情報が統合される情報処理メカニズム解明
Project/Area Number |
19K21207
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
村上 知成 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 助教 (50827087)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | マウス / マーモセット / 背側視覚野 / 運動パターン情報処理 / シナプス入力イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
物体の“動き”に関する視覚情報は、大脳皮質の背側に位置する多数の視覚領野からなる階層的な神経経路によって処理される。低次視覚野の細胞は単純な動きの情報(線分の動く方向)を処理し、背側経路に属する高次領野の細胞は複数の線分の動きを統合し、大局的な運動パターンを処理する。しかし、低次領野から高次領野の細胞にどのような情報が入力し、統合されるかという詳細なメカニズムはまだ分かっていない。本研究では、マウス・マーモセット視覚野と広域・二光子Ca2+イメージングを組み合わせて、背側視覚野の細胞へのシナプス入力を解析し、局所的な運動情報が大局的な運動パターンへ統合される情報処理メカニズムを解明する。 最終年度はマーモセットMT野のpattern selective cellにどのような入力が入っているか網羅的に検証するために、まず①MT野で縞模様・格子状刺激以外の運動情報を含む視覚刺激への応答特性を調べ、②同時にマウスでGCaMP6sを少数の神経細胞に発現させる条件検討を行った。その結果、マーモセットMT野においては縞模様刺激だけでなく、一定方向に動くランダムに配置された点刺激においても各細胞が選択的に反応することが観察された。現在MT野の神経細胞が投射を送っているMST野においてこの情報がどのように処理されているかを解析している。また、GCaMP6sの遺伝子をコードするアデノ随伴ウイルスをマウスの脳に注入するが、その濃度をコントロールすることにより少数の神経細胞にのみGCaMP6sを発現させ、その神経細胞から伸びる樹状突起の活動を観察することが可能となった。今後はマーモセットにおいてもこの実験系が応用できるようにしていく。
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Research Products
(10 results)