2019 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19K21209
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐々木 亮 京都大学, 医学研究科, 助教 (70817931)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 意思決定 / 腹外側前頭前野 / 腹側被蓋野 / マカクサル / 報酬とリスク / デコーディング解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
1) マカクサル4頭の行動実験から報酬とリスクのバランスを定量化できる行動評価法の開発に成功した:報酬が与えられる確率が5種類、それに報酬量をかけた期待値も5種類設定された25種類の色の刺激のうち毎回2つが提示され、それらのいずれかを選択するような課題をサルに課す(HH-LL課題)と、「報酬期待値が同じなら確率が低く、一方で一回の報酬量が多い(ハイリスク・ハイリターン)色を選ぶ(リスク依存性)」と「同じ確率なら期待値が高い方の色を選ぶ(期待値依存性)」が観察された。 2)網羅的な薬理操作実験(サル2頭)により腹外側前頭葉皮質(vlPFC)がリスク選択に関与していることを発見した(北米神経科学学会2019):リスクと報酬の獲得戦略に関与する脳部位を特定するため、HH-LL課題遂行中のサルに局所的な神経活動の抑制実験を行なった。前頭葉領域及び中脳の様々な部位にGABAA受容体のアゴニストであるムシモルを注入して可逆的不活性化実験を行ったところ、vlPFCを不活性化した際にリスク依存性が消失することが見いだされた。また、期待値に対する感度は、失われなかったことから、タスクそのものを拒否した結果ではなく、vlPFCの活動の低下により、HH-LL特異的な感度が消失したと考えられる。その他、前頭眼窩野(OFC), 腹側被蓋野(VTA), 前帯状皮質(dACC), 側坐核(NAc)においてはリスク依存特異的な効果は見られなかった。このように中脳皮質-前頭葉のドーパミン経路を中心とする各領野のリスク選択性への関与を網羅的及び因果的に明らかにした。 3)腹側頭頂野大規模神経活動からのデコーディング解析により柔軟に切り替わる意思の推定に成功した(Sasaki et al., Nature Neuroscience, provisionally accepted)
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