2019 Fiscal Year Annual Research Report
神経活動依存的髄鞘形成の分子基盤の解明:脳白質は可塑的であるか?
Project/Area Number |
19K21211
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
杉尾 翔太 神戸大学, 医学研究科, 助教 (30825344)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 神経活動依存性髄鞘形成 / オリゴデンドロサイト・神経細胞活動相関 / カルシウムクロストーク |
Outline of Annual Research Achievements |
脳の半分を構成する白質は神経軸索によって構成される。灰白質を神経情報を統合し新たな神経情報を生み出す「発電所」に例えると、白質は神経情報を送る「電線」に相当する。神経軸索はグリア細胞の一種であるオリゴデンドロサイト(OC)の細胞突起によって髄鞘化されると、その情報伝導速度が飛躍的に上昇する。近年、神経細胞とOCおよびその前駆細胞(OPC)とがカルシウム活動を介して連関することで、髄鞘の形成・再編(神経活動依存性髄鞘形成・再編)が生じ、活動電位の伝導速度を可塑的に変化させることで神経回路活動を時空間的に制御することが明らかになってきている。本研究申請では、①どのような神経細胞-OC・OPC間のカルシウム活動連関が髄鞘形成を制御するのか、②活動連関によってOC・OPCにもたらされる変化の実態は何か、③神経細胞やOCのカルシウム活動を時空間的に制御することで白質の伝導速度を人為的に操作可能か、という点に着目し、研究を進めた。 本年度、OC・OPCに蛍光カルシウムインディケーターを発現する遺伝子改変マウスを用いて、神経細胞の活動を麻酔で抑制した場合、化学遺伝学ツールで人工的に神経活動を活性化させた場合のOC・OPCのカルシウム活動の変化を2光子顕微を用いた生体イメージングで記録し、これらの活動相関の解析を行なった。その結果、OC・OPCは非常に速いカルシウム活動を有しており、これは神経活動に強く相関することを明らかにした。これらマウスの急性脳スライス標本にパッチクランプ法を施し、OC・OPCの活動に変化をもたらす神経細胞由来因子も明らかにしつつある。また、2光子イメージングで活動変化を起こしたOC・OPCの微細な構造変化を検出するために電子顕微鏡との相関イメージング法の確立を進めた。
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Research Products
(2 results)