2018 Fiscal Year Annual Research Report
社会的敗北ストレスモデルを用いたミクログリア仮説に基づくうつ病の解明
Project/Area Number |
18H06091
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
藤川 理沙子 九州大学, 医学研究院, 助教 (50823209)
|
Project Period (FY) |
2018-08-24 – 2020-03-31
|
Keywords | うつ病 / 炎症 / ミクログリア |
Outline of Annual Research Achievements |
わが国では過労死の増加など、社会的ストレスによるうつ病が社会的問題となっており、学術的支援が必要とされている。うつ病の仮説として、患者の脳でセロトニンの機能が低下しているとされるセロトニン仮説が有力である。セロトニンを標的とした抗うつ剤で一定の効果が得られているが、抗うつ剤を十分な期間服用しても改善が見られない症例も報告されており、病態の理解や新薬の開発が望まれている。その他の発症仮説のひとつに、ミクログリア仮説がある。神経炎症に関わるグリア細胞のうち、特に炎症応答への寄与が大きいミクログリアは、シナプスにコンタクトし神経回路の可塑性や行動を調節している。 本研究ではヒトのストレスに近似しているとされている社会的敗北ストレスモデルマウスを用い、脳で炎症応答を担うと考えられているミクログリアとうつ病の関係の解明を目指している。平成30年度は、大型で攻撃性の高いマウスに暴露し慢性的にストレスを与えるResident-Intruder Paradigm を用いてモデルマウスの作出を行い、ソーシャルインタラクション試験と強制水泳でうつ様行動を評価した。1日10分間の身体的ストレス及び24時間の精神的ストレスを与えることで、うつ様行動を示すモデルマウスが作出できることを確認した。 今後は、本モデルを用いてミクログリアの形態学的検討を行い、社会的ストレスによるうつ病の発症と回復におけるミクログリアの役割を明らかにすることを目指す。うつ病の理解や新たな治療薬の開発とスクリーニングに繋がると考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
社会的敗北ストレスモデルマウスを作出し、うつ様行動が確認できた。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、社会的敗北ストレスを与えたマウス及び抗うつ剤を投与したマウス海馬のミクログリアの形態学的検討、遺伝学的検討、影響を与える神経回路の検討を行い、社会的ストレスによるうつ病の発症と回復におけるミクログリアの役割を明らかにすることを目指す。
|