2019 Fiscal Year Annual Research Report
新規マウス行動課題に基づく個体識別の神経メカニズムの解明
Project/Area Number |
19K21214
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
藤原 昌也 早稲田大学, 重点領域研究機構, 次席研究員(研究院講師) (60823705)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | IntelliCage / 個体識別 / MAPS |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトは他者を識別するとき、視覚を中心とした感覚情報による識別とともに、他者との関係性(自身にとっての相手の役割)をもとにした識別を行い、他者に対する感情を引き起こす。本研究は、相手個体の役割が変化する行動課題を用いて相手個体の役割を操作し、ヒトが無意識で行っているような相手の役割を瞬時に判断し、関係性を踏まえての個体識別をマウスが実現しているのかどうかを明らかにすることで、社会性記憶や他者認識の脳内メカニズム解明に貢献する。 我々は昨年度までに、集団生活するマウスの個体識別と位置情報の取得を自動で行う解析ソフトウェアMultiple Animal Positioning System (MAPS)の開発を行なった(Communications Biology, 2018)。MAPSを用いて個体識別に関する解析を行った。更に自動行動解析装置を用いての解析を行った。装置内の水飲み場を用い、被験マウスを他マウスと同居させ、任意に設定された1個体(Target)が選んだ水飲み場でのみ被験マウスは水が飲めるという課題を用いて解析した。この課題は、マウスの社会性記憶の形成や社会的役割に応じた意思決定の神経メカニズムを解明していく上で強力なツールとなると期待できる。Targetを別個体に入替え、相手の役割を変容させた時の行動も解析した。自動行動解析装置の課題中にマウスの位置情報を取得する装置の開発も行い、個体識別ができるようになるまでの行動を解析した。 我々の行動課題はマウスの個体識別能力を定量評価できる評価技術であり、社会性脳機能を解明するだけではなく社会性の障害やコミュニケーションの問題を主症状とする自閉スペクトラム症への治療薬創造に資する定量評価技術を提示できると期待できる。同課題において社会性に影響を与える化合物の投与効果を検討した。更に個体識別に重要な役割を果たす脳領域を検討した。
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Research Products
(1 results)