2018 Fiscal Year Annual Research Report
PETを用いたアデノシン2A受容体遮断薬によるドパミンD2受容体への影響の解明
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18H06096
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
沖田 恭治 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 脳病態統合イメージングセンター, 室長 (50456547)
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Project Period (FY) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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Keywords | ドパミンD2受容体 / アデノシン2A受容体 / 陽電子放射断層撮影 / 線条体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は健常者を対象とした、短期間の薬物的介入を含むプラセボ対照二重盲検試験である。陽電子断層撮像法(positron emission tomography: PET)を用いて、アデノシン2A受容体(A2AR)の選択的アンタゴニストであるイストラデフィリンが、ヒト生体脳において、線条体ドパミンD2受容体(D2R)結合能を増加させるかどうか評価することを主目的とする。A2ARとD2Rは、いずれもGタンパク質共役型受容体であり、線条体の中型有棘細胞のうち間接路を構成するGABAニューロンに選択的に発現している。また、この二つの受容体はヘテロマーを構成し、アロステリック効果と呼ばれる相互的な機能調節が働いている。この機能調節の機序には詳細不明な部分もあるが、D2Rの細胞膜から細胞内への内在化にA2ARが関与しているとされ、ラットの培養細胞を用いた実験では、選択的A2ARアンタゴニストがD2Rの内在化を抑制することが示されている。つまり、A2ARを遮断することでD2Rがアップレギュレートされる可能性が示唆されているが、ヒト生体脳でその相互的機能調節についての検討はほぼなされていない。 今年度は、想定していなかった問題によって本研究で使用するPETトレーサーの合成手法の確立や他の心理データ収集の方法の決定に多くの時間を費やす必要が生じたが、現時点では問題は解決され、データ収集も始まっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究で使用する11C-ラクロプライドは当センターで過去に使用実績がなく、合成手法を最初から確立する必要があった上に、PETトレーサー合成のためのマンパワーの問題や他のすでに開始されていた研究との兼ね合いもあり、11C-ラクロプライドを安定して合成し、研究で使用できる状態にするのに当初の予定よりも時間がかかってしまった。上記のマンパワーに関する問題は現時点では解消されており、データの収集もすでに始まっている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究を開始する上での障壁はすでに解消されており、データ収集はすでに始まっている。今後はリクルートをより活発にし、同時に可能な限り多くのスキャンタイムを確保していくことで、これまでの遅れを取り戻す方針である。
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