2019 Fiscal Year Annual Research Report
神経変性疾患に関わるPDIのSNO化位置の同定と神経変性機構との関連
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19K21219
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小倉 次郎 東北大学, 大学病院, 助教 (20580640)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 神経変性疾患 / PDI / S-ニトロシル化 / 基質結合ドメイン / 小胞体ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
世界的な高齢化の進展に伴い、神経変性疾患の患者数は増加の一途を辿っている。しかしながら、神経変性疾患の根治療法は未だ確立していない。このため、神経変性疾患の根治療法・効果的予防法の確立は健康長寿社会の実現に向けた喫緊の課題である。近年、神経変性疾患患者の死後脳からS-ニトロソ化 (SNO化)Protein Disulfide Isomerase (PDI) が共通して検出され、異常タンパク質の蓄積、ひいては神経変性の原因と考えられている。これまで、PDI のSNO 化は活性中心であるCGHC モチーフに生じ、SNO 化による機能不全が神経変性の要因と考えられてきた。しかしながら、近年、この仮説と矛盾した知見がいくつか報告された。これまでに、ヒト神経芽細胞腫由来SH-SY5Y 細胞を用いた検討から、SNO化剤ニトロソシステイン (SNOC) 処理により、PDIの基質結合ドメイン中のC343がSNO化されること、生じたSNO化PDIはSH-SY5Y細胞中で安定に存在しうることを明らかとした。そこで、PDI C343のSNO化が神経細胞に与える影響について、小胞体 (ER) ストレス、Unfolded Protein Response (UPR) に着目して検討した。SH-SY5Y細胞をSNOCで30分処理し、SNOC除去後24時間後の小胞体ストレスマーカーを検討したところ、IRE1αのリン酸化が確認された。一方、UPRマーカーとして知られるERdj4, ATF4, CHOP, Bip, GRP94 mRNA量に変動は見られなかった。また、PDI C343S細胞を用いて同様の検討を行ったところ、IRE1αのリン酸化が見られなかった。以上のことから、PDI C343のSNO化によりIRE1αが活性化されることが明らかとなった。
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