2019 Fiscal Year Annual Research Report
不斉ラジカル環化カスケードを基盤としたハイブリッド型中分子の迅速合成
Project/Area Number |
19K21220
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
古田 未有 東北大学, 薬学研究科, 助教 (40819299)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ラジカル環化 / カスケード反応 / 生物活性天然物 / インドールジテルペン / 光酸化還元触媒 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、単純な構造の低分子化合物を中心とした創薬が行き詰まる中、複雑な骨格の天然物をモチーフとした中分子化合物が注目されている。中でも、生合成的に異なる系統の化合物によって構成されるハイブリッド型中分子化合物は、それぞれが持つ元来の生物活性とは異なる活性を示すことが期待されており、魅力的な医薬シーズである。本研究では、多環性インドールアルカロイドとジテルペンのハイブリッド型化合物に着目し、未だ開発されていない官能基許容性の高い多環性テルペン骨格の一挙不斉構築法を創製し、創薬研究に貢献し得るハイブリッド型生物活性化合物の網羅的迅速合成を目指した。ハイブリッド型化合物の多環性テルペン骨格は、収束的に調製した鎖状の環化前駆体から温和な条件でラジカルを発生させ、カスケード反応を用いて一挙に構築することとした。 本年度も引き続き、パキシリンをモデル化合物として、多環性テルペンの共通骨格であるD環部構築法を検討することとした。市販の原料から6段階でエポキシドを含むD環部モデル環化前駆体を調製した。これに対し、ラジカル環化を検討したところ、目的の5-6員環が縮環した化合物は得られなかった。一方、α-ブロモ-β-ケトエステルを有する環化前駆体に対し、光酸化還元触媒を作用させると、カスケード型環化が進行し、二環性シクロプロパンを得ることに成功した。本手法は、インドールジテルペンハイブリッド型化合物の共通骨格のみならず、多様なテルペン骨格構築の足がかりになると考えられる。
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