2018 Fiscal Year Annual Research Report
環状ホスファチジン酸類縁体を用いた多発性硬化症の新規治療薬開発
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18H06111
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
山本 梓司 埼玉医科大学, 保健医療学部, 助教 (70823318)
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Project Period (FY) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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Keywords | 多発性硬化症 / 2ccPA / クプリゾン |
Outline of Annual Research Achievements |
多発性硬化症(MS)は、神経軸索を取り巻くミエリンが破壊される中枢神経系の脱髄性疾患である。運動障害や感覚障害などの神経症状が再発と寛解を繰り返して進行し、最終的に車イス、ベッド生活を余儀なくされ健康寿命を著しく低下させる。MSは、「自己免疫性」と「非自己免疫性」の2つの発生メカニズムが広く認知されている。MSの基礎研究では、自己免疫性MSを反映する実験的自己免疫性脳脊髄炎(Experimental autoimmune encephalomyelitis: EAE)モデルや、非自己免疫性MSを反映するクプリゾン(Cuprizone: CPZ)動物モデルが広く用いられている。自己免疫性MSの治療薬は多く臨床応用されているが、MS病態の再発を抑制するにとどまり、病態の進行を食い止める治療薬は開発されていない。 環状ホスファチジン酸(Cyclic phosphatidic acid: cPA)は、真性粘菌より単離された独特な環状リン酸構造を持つ脂質メディエーターである。申請者は、CPZ誘導脱髄モデルマウスを作製し、cPA投与による脱髄抑制効果、運動障害改善効果を明らかとした(S. Yamamoto et al, Eur J Pharm 2014)。cPAを治療薬として応用する為、より高い生体内安定性をもつ化学合成されたcPA誘導体である 2-carba-cPA(2ccPA)が開発された。申請者はEAEおよびCPZモデル動物を作製し、2ccPAを投与し病態解析を行った。2ccPAはEAEおよび、CPZの両MSモデルにおいて脱髄抑制効果を示した(S. Yamamoto et al, J Neuroinflammation 2017)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
cPAs(cPA及び2ccPA)は安全性試験をクリアし、臨床応用に向けた研究を進めている(特許取得済:PCT/JP2014/051748)。cPAsの脱髄抑制メカニズムを明らかとするため、液体クロマトグラフィー質量分析法(LC-MS/MS)を用いて体内動態解析を行ったところ、cPAsが直接脳に移行し、脱髄抑制効果を発揮する可能性の他に、代謝された化学物質(cPAs類縁体)が脱髄抑制に関与する可能性が示唆された。このcPAs類縁体の脱髄に対する効果を確認する為、cPAs類縁体をCPZモデルマウスに投与し、脳梁におけるミエリン量の評価、運動機能の評価を行った。cPAs類縁体も脱髄抑制効果および運動機能改善効果をもつことが示唆された(特許申請中)。現在、cPAsおよびcPAs類縁体を用いた、第三者研究機関による再現性実験を遂行中である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、cPAsの臨床応用に向け、第三者研究機関(日精バイリス株式会社)による2ccPA及び2ccPA類縁体を用いた再現性試験を遂行中である。クプリゾン誘発脱髄モデルマウスを作製し、2ccPA及び2ccPA類縁体を投与する。薬効の対照薬としてフィンゴリモド塩酸塩及びフマル酸ジメチルとの比較検討を行う。対照薬はいずれもMSの再発を抑制する治療薬として臨床応用されている免疫修飾薬である。MSモデルマウス作製後、ロータロッドを用いた運動機能を評価、また脳切片を作製しミエリン染色による脱髄程度の評価を行う。
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