2019 Fiscal Year Annual Research Report
選択的抗嫌気性活性の解明を指向したエフロトマイシンの収束的不斉全合成
Project/Area Number |
19K21230
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
池田 朱里 北里大学, 感染制御科学府, 特任助教 (40825056)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | C.difficile感染症 / 全合成 / エフロトマイシン / 鎖状天然物 / 抗生物質 |
Outline of Annual Research Achievements |
C.difficile感染症は、腸内における嫌気性菌C.difficileの異常増殖に起因する感染症であり、重篤な腸炎・下痢症に至る。鎖状天然物であるエフロトマイシンがC.difficileに有効である事が見い出された事から、本研究課題にてその全合成経路の確立に着手した。 エフロトマイシンの全合成に際し、標的分子を4つのパートに分割し、最後に連結する収束的な合成経路を計画した。各パートを誘導化することで、多様性に富んだ誘導体を創出できる。また2パートに共通する3置換オレフィン構造の簡便な合成法の構築も目指した。 前年度までに4パートのうちピリドン環パートの合成を達成した。また6員環アセタールパートの合成にも着手しており、鍵となる水酸基の立体選択的な構築には保護基の調整が重要である事を見い出していた。 最終年度では、共通部分の合成法を検討し、マグネシウムを用いたカルボメタル化反応と続く熊田クロスカップリング反応を連続して行うことで、望む構造が高選択的に合成できた。本手法における原料を変更することで2パートに必要な共通部分の合成を達成した。さらに、前年度に報告したピリドン環パート合成の更なる短縮にも成功した。また前年度に引き続き6員環アセタールパートの合成を進めた。出発物質から合成したアルデヒドに対しHWE反応を行うことで炭素鎖を伸長し、水酸基の立体を利用したシャープレス不斉エポキシ化を行うことで、2つの水酸基を高立体選択的に合成した。種々の反応の後、安定な環状化合物を得て、本パートの前駆体合成を達成した。3つ目のフラン環パートの構築にも着手しており、先の手法により共通部分を構築した後にマーシャルプロパルギル化反応を行うことで、アンチ選択的な求核付加を達成した。今後は、残り2パートの合成を終え結させることで、エフロトマイシンの全合成を目指す。
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