2019 Fiscal Year Annual Research Report
自閉症治療に対する新規DDS開発 -経鼻投与によるoxytocinの脳内送達-
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19K21236
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Kobe Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
田中 晶子 神戸薬科大学, 薬学部, 特任助教 (30824320)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 鼻腔内投与 / 脳内送達 / オキシトシン / 自閉症治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は オキシトシン (OXT) の鼻腔内投与後の脳送達性を向上する新たなドラッグデリバリーシステム (DDS) を開発することで、OXT 鼻腔内投与による自閉症治療法を構築することを目的とする。2019 年度は、OXT の脳移行性の改善を目的として、脂肪酸(カプロン酸およびオクタン酸)を化学修飾した OXT を合成し、マウスに鼻腔内投与したところ、脂肪酸修飾 OXT の脳移行性は未修飾 OXT 投与に対する優位性を示さなかった。これは、脂肪酸修飾により OXT の溶解性が低下したことが要因と考えられ、溶解性と膜透過性のバランスが重要であることが示唆された。そこで、2020 年度は、溶解性を向上させるため、短鎖脂肪酸である酪酸修飾 OXT を合成し、OXT の脳内移行性の向上を試みた。酪酸修飾 OXT の溶解性は、カプリン酸誘導体 OXT と比較して高かったが、酪酸修飾による脳移行性の改善は認められなかった。これは、短鎖である酪酸修飾においても、鼻腔内投与後に OXT が脳へ直接移行する過程で、OXT が脳脊髄液に十分に溶解しなかったことによるものと推察される。そこで、次の戦略として、OXT の粘膜吸収を促進する製剤添加物としてアニオン性界面活性剤である N-アシルタウリン酸塩を取り上げ、製剤添加物による OXT の脳移行性の改善を検討した。鼻腔内投与 5 分後の脳移行性を評価したところ、OXT の脳移行性は、N-アシルタウリン酸塩併用により向上する傾向がみられ、なかでも、sodium methyl lauroyl taurate (LMT) および sodium methyl stearoyl taurate (SMT) の併用により OXT が効率的に脳へ移行することが示された。また、OXT の粉末製剤化により OXT の脳移行性が改善される可能性も示された。
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Research Products
(4 results)