2020 Fiscal Year Research-status Report
ヒトと極めて類似した発症機構を持つ革新的脱毛症モデル動物の開発
Project/Area Number |
19K21242
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
田崎 啓 名古屋大学, 医学系研究科, 講師 (80333326)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | モデル動物 / 脱毛 / リスク評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究「ヒトと極めて類似した発症機構を持つ革新的脱毛症モデル動物の開発」では、研究代表者らが開発した任意の位置・範囲・時期に再現性が高く簡便に円形脱毛症を発症し、さらに自然治癒する円形脱毛症モデルが、従来用いられてきたモデル動物の発症率の低さ(20%未満)、発症部位・範囲・時期(数ヶ月)が予測できないこと、毛髪再生が起こらないなどの問題点を解決できることを示す。本研究では、本モデル動物が、ヒトと極めて類似した発症機構を持つことを証明し、この動物を用いた治療法の評価系を確立するとともに革新的治療法の開発に取り組むことを目的とした。 本年度はヒト円形脱毛症治療法開発に応用可能なモデル動物であることの地位を確立するために、①昨年度行なった本モデル動物の肉眼レベル、病理・組織レベルでの予備検討時にみられたヒト円形脱毛症との類似性の検証を詳細に行うとともに、②再現性よく任意の位置・範囲・時期に脱毛症を発症させる条件の詳細な検討、③阻害剤の投与による脱毛症治療の評価系の確立に取り組んだ。 ①ヒト円形脱毛症における病態の一つである、脱毛部位の毛包周囲にリンパ球や好中球の浸潤をヘマトキシリン・エオシン染色で確認した。これらの細胞はCD8陽性の細胞障害性T細胞であることを確認できた。②脱毛症を発症する位置については、少なくとも頭部、頚部、背部、腰部において再現性よく発症した。範囲については、投与する薬剤の量を調整することで、再現性よく発症した。時期については、再現性よく発症した。③細胞障害性T細胞の浸潤に関わるIFN-γ の下流エフェクターであるJanus kinase (JAK)ファミリーの阻害剤の経口投与により、一定の予防効果があることが確認できた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本モデル動物がヒトと極めて類似した発症機構を持つ円形脱毛症モデルであることを示すとともに、阻害剤の経口投与により、一定の予防効果があることが確認できた。
|
Strategy for Future Research Activity |
阻害剤投与の条件検討および、分子レベルでの検証を行い、予防効果のみならず、治療効果についても検討する。
|
Causes of Carryover |
出張予定であった学会がオンライン開催となり旅費が不要となったため、また、購入予定であった物品が安価で入手できたため、次年度使用額が生じた。 次年度、物品購入、学会発表のための旅費、英文校正、論文発表、謝金、共通機器使用料等に使用する予定である。
|