2018 Fiscal Year Annual Research Report
新規発見した血管異常収縮制御分子p63RhoGEFの結合/阻害分子特定と機能解析
Project/Area Number |
18H06129
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tokyo University of Science, Yamaguchi |
Principal Investigator |
百渓 江 山陽小野田市立山口東京理科大学, 薬学部, 教授 (00824848)
|
Project Period (FY) |
2018-08-24 – 2020-03-31
|
Keywords | p63RhoGEF / GEFT / RhoA / 平滑筋 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、これまでの研究を通して特定した血管収縮に関わっているp63RhoGEFというタンパク質とともに働く未知のタンパク質の探索を行い、将来的な、阻害化合物の特定につなげます。そのような因子は血管収縮阻害による血圧低下効果をもつと考えられ、それぞれ副作用等の問題をかかえる既存の高血圧治療薬に新たな阻害因子の選択肢を加えることによって、より臨機 応変に、状況に応じた副作用の少ない治療を選択することが可能になると考えます。本研究は、そのような新規阻害物質の特定・開発の前段階の研究です。 具体的には、 まず、哺乳類や酵母細胞の中でp63RhoGEFもしくはその一部を人工的に発現させ、その後、その人工的に発現したp63RhoGEFと結合するタンパク質を特定します。現在は、p63RhoGEFを研究の目的に似合うような形で人工的に発現させる仕組みを慎重に作っている段階で、これまでに哺乳類細胞の中でp63RhoGEFを人工的に発現させる仕組みを完成し、今後は酵母細胞の中でp63RhoGEFを人工的に発現させる仕組みの完成を目指します。 p63RhoGEFを阻害する因子は、p63RhoGEFを経由した血管収縮を阻害し、つまり血管を拡張させることが期待できるので、高血圧の治療薬となりえます。血圧は主に、体中に大量にある微小血管の収縮・拡張によって制御されていることが分かっていますが、今回の研究に関わる実験によって、微小血管の血管緊張の際、実際にp63RhoGEFが活性化される事が確認されました。この結果は、p63RhoGEFを阻害する因子が実際に高血圧を緩和する可能性を強く示唆する成果です。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
p63RhoGEFの組み換えPleckstrin homology及びDbl homologousの各ドメイン、更に全長タンパク質の発現については、発現プラズミド作成を含め、哺乳類細胞における発現系の確立と発現確認は完了した。発現確認組み換えタンパク質については、近位依存性ビオチン標識(BioID)と結合させた、p63RhoGEFの組み換え全長タンパク質も含む。それにより、BioIDを応用したp63RhoGEFの結合パートナーの探索着手の準備は整った。現在は、大腸菌発現用プラズミドの作成に着手中である。本研究計画には酵母ツーハイブリッド法による結合の分析も含まれており、理想的には酵母用発現系の構築及び酵母内発現の確認も必要となるが、p63RhoGEFと高い相同性を有するGEFであるTrio の阻害剤ペプチドの、p63RhoGEF 阻害ペプチド化を目指したアミノ酸配列の 改変のin silico による設計作業も含め遅延している。理由は、同時並行的に血圧制御に深く関わる微小血管の血管緊張におけるp63RhoGEFの活性化の確認(in vivo)に時間を要していたためである。幸い微小血管の血管緊張におけるp63RhoGEFの活性化は直接的に確認され、結果としてp63RhoGEF阻害薬による高血圧治療という本研究の本質的な目的の科学及び臨床的な意義は深まったと考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
現在、p63RhoGEFのPleckstrin homologyドメイン及びDbl homologousドメインの組み換えタンパク質の大腸菌等における発現とその精製条件の最適化作業を継続している。続いて両タンパク質の結合の免疫沈降法、近位依存性ビオチン標識(BioID)を応用した手法、または酵母ツーハイ ブリッド法による結合の分析を計画している。そのいずれもが、本研究の短期的目標の一つであるp63RhoGEFの結合タンパク質の特定を目標とするものである。上記の複数の手法のうち、BioID を応用した手法については、哺乳類発現系等が揃いつつあり、時間的制約等により、酵母ツーハイ ブリッド法を応用したスクリーニング系の確立が困難となった場合、BioID を応用したスクリーニングを先行させ、p63RhoGEFの結合タンパク質の特定を目指す。p63RhoGEFは哺乳類タンパク質であり、BioID を応用したスクリーニング系は哺乳類細胞内での結合体を分析対象とすることから、特定される結合対象タンパク質は、哺乳類生理学的にも最も適切な結合対象タンパク質と考えられる。また、同時並行的に実行していた血圧制御に深く関わる微小血管の血管緊張におけるp63RhoGEFの活性化(in vivo)確認実験を通して同条件におけるp63RhoGEFの活性化が認められた。その結果を受け、本研究の一義的目標とはしないが、特定初期段階であっても、結合対象タンパク質のp63RhoGEFの機能阻害を含む哺乳類生体における機能分析も念頭において研究を進めるものである。
|
Research Products
(4 results)
-
-
[Journal Article] RSK2 contributes to myogenic vasoconstriction of resistance arteries by activating smooth muscle myosin and the Na+/H+ exchanger2018
Author(s)
Mykhaylo V. Artamonov, Swapnil K. Sonkusare, Miranda E. Good, Ko Momotani, Masumi Eto, Brant E. Isakson, Thu H. Le, Eric L. Cope, Zygmunt S. Derewenda, Urszula Derewenda, Avril V. Somlyo
-
Journal Title
Science Signaling
Volume: Vol. 11, Issue 554
Pages: eaar3924
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
-
-