2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K21256
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
丸鶴 雄平 東京大学, 医科学研究所, 助教 (50825750)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 1細胞解析 / ウイルス |
Outline of Annual Research Achievements |
培養プレートに撒いた細胞株にウイルスを感染させ、ウイルスや宿主の遺伝子発現、及びウイルス増殖等の解析を行うことは、ウイルス研究における最も基本的な研究手法であり、基本的に各ウェルに対して1つのデータが得られる。しかし、その値はウェル内の全ての細胞の足し合わせと考えられ、細胞の不均一性を反映していない。近年の1細胞解析技術の発達により、単一細胞株かつ同一ウェル内においても、細胞の遺伝子発現が不均一であることが明確になっており、同様にウイルスの感染も同一ウェル内で不均一であることは明らかである。従来法としてフローサイトメトリー(FCM)によっても細胞の不均一性を定量的に検出することは可能であった。しかし,FCMでは,原理的に測定項目数は見分けられる蛍光の種類に依存し、不均一性の原因を解析するに足るデータは得られない。本研究はFCMと比較し、測定項目数が格段に多い1細胞トランスクリプトーム解析によってウイルスの遺伝子発現の不均一性の原因を解明し,ウイルスが引き起こす病態の制御法の基盤的知見を得ることを目的とした。これまでに申請者は単純ヘルペスウイルス(HSV)感染細胞からFluidigm C1 Systemを用いて1細胞トランスクリプト―ムのデータを取得し、宿主の遺伝子発現 とウイルスの遺伝子発現の相関関係を解析した。その結果、その発現量の多寡がHSVの感染不均一性を司る可能性のある宿主遺伝子を複数同定した。また、CRISPR-Cas9によってこれらの候補遺伝子のゲノム編集を行った細胞におけるHSVの遺伝子発現を解析した結果、効率的なウイルス遺伝子発現に必要な宿主遺伝子を同定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究計画は(i)C1 systemを用いたHSV感染細胞の1細胞トランスクリプトームのデータ取得、(ii)感染細胞の1細胞トランスクリプトームデータのバイオインフォマティクス解析による候補遺伝子の同定、(iii)候補遺伝子をゲノム編集した細胞を用いた解析、の3段階から成るものである。現在までに本研究は(iii)まで完了し、効率的なウイルス遺伝子発現に必要な宿主遺伝子を同定することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までに行ったHSVの感染不均一性に関する解析によって効率的なウイルス遺伝子発現に必要な宿主遺伝子を同定することができた。今後はこの遺伝子がHSVの遺伝子発現の不均一性を制御するのか実験的に証明する。
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Causes of Carryover |
これまでに行った1細胞トランスクリプトーム解析及びその後の統計解析によって単純ヘルペスウイルスの遺伝子発現と効率的なウイルス増殖に必要な宿主遺伝子を同定することがdきた。今後の論文投稿に向けて、再現実験やより精緻なデータを取得する為に補助事業期間の延長が必要である。
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Research Products
(2 results)