2019 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19K21262
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
加藤 琢哉 北里大学, 医学部, 助教 (00551970)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 癌細胞浸潤 / 形態形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】腫瘍組織の形態学的特徴は病理医によるがんの診断において重要な意味を持つ。この形態学的特徴はがん細胞が過去にどのように浸潤・増殖したかを反映しており、このことが個々のがんの形態が悪性度と関連づけられる要因の一つと考えられる。これまでの浸潤研究では浸潤の有無あるいは多寡について論じており、浸潤部の形態的な変化についてはほとんど考察されていない。そのため、腫瘍形態形成の決定因子及び分子メカニズムについては未解明のままである。 予備的な研究により、CRISPR-Cas9技術あるいは遺伝子過剰発現系によって細胞間接着あるいはECM分解能を操作した細胞株が、それぞれ異なる浸潤形態を示すことを見出している。本研究ではこれらの細胞株を用いてがん組織形態形成の詳細な分子機構を解明するとともに、異なる浸潤形態ががんの増殖や転移にどのような影響を与えているかを検討することを目的とする。 【方法】三次元浸潤実験系においてアクトミオシン制御に重要なROCKの阻害剤処理およびROCK活性化型変異体発現により活性化させることで浸潤部の形態にどのような影響を与えるのか、共焦点顕微鏡によって得た画像を解析した。また、これらの細胞の増殖がどのように影響を受けるかを三次元培養法にて解析した。 【結果】三次元浸潤実験の結果から、細胞集団におけるアクトミオシン活性の局在を撹乱することで浸潤部の肥厚化や、ECM内での癌細胞の増殖が抑制されることが明らかとなった。また、ヌードマウスを用いた実験から、in vitroで浸潤部を肥厚化できる細胞はin vivoで効率よく増殖し、かつ高頻度に転移することが明らかとなった。今回の結果は、細胞集団の外縁部に局在するアクトミオシン活性が、集団外縁部に張力を発生させることで周囲のECMを押しのける力が作用し、浸潤部位の肥厚化やECM内での高効率な増殖に繋がることを示唆している。
|