2019 Fiscal Year Annual Research Report
唾液腺オルガノイドを用いた唾液腺腫瘍関連遺伝子の機能の解明
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19K21263
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
鯨岡 聡子 昭和大学, 歯学部, 助教 (90824673)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | オルガノイド / 唾液腺腫瘍 / 腫瘍関連遺伝子 / 機能解析 / ES細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、マウスES細胞より誘導した唾液腺オルガノイドを用いて唾液腺腫瘍関連遺伝子の腫瘍発生における機能を解明することにある。近年、一部の唾液腺腫瘍において特徴的な遺伝子変異(唾液腺腫瘍関連遺伝子)が報告されているが、当該遺伝子の腫瘍発生における役割を直接的に示した報告は未だない。その理由として、これまでの唾液腺腫瘍関連遺伝子に関する報告は、ヒト検体を用いた解析が主流であることが挙げられる。申請者の所属研究室では2018年にマウス唾液腺の発生段階をin vitroで再現することで、マウスES細胞から機能的な3次元唾液腺オルガノイドの作製に成功した。この唾液腺オルガノイドの細胞ソースはES細胞であり、CRISPR-Cas9システムなどのゲノム編集技術の応用が可能であることから、特定の遺伝子の機能を解析することが可能なモデルであると考える。 2018年度はES細胞の維持培養および唾液腺オルガノイド分化誘導方法についての技術を習得し、効率よく唾液腺オルガノイドを分化誘導することが可能となった。 2019年度は腫瘍関連遺伝子(PLAG1およびMyb)をpiggyBack vectorを用いてマウスES細胞に導入し、唾液腺腫瘍関連遺伝子を過剰発現させた唾液腺オルガノイドを作出することを目標とした。それに加え、唾液腺腫瘍関連遺伝子の腫瘍発生への関与を検討する目的で、胎生期唾液腺に類似していたES細胞由来唾液腺オルガノイドを成熟させる培養法の開発を試みた。各種組換えタンパク質の添加により唾液腺成熟マーカーの発現を検討したが、現時点で唾液腺オルガノイド成熟に関わる組換えタンパク質は同定できていない。今後、in vitroで成熟唾液腺を培養可能な系を確立することにより、より生体内の状況に近い腫瘍発生メカニズムの解明が可能となり、今年度以降も研究を継続する。
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