2019 Fiscal Year Annual Research Report
肺癌における活性イオウ分子種とイオウ代謝酵素の役割の解明
Project/Area Number |
19K21266
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
突田 容子 東北大学, 大学病院, 医員 (50822566)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 肺癌 / CARS2 |
Outline of Annual Research Achievements |
システイニルtRNA 合成酵素(cysteinyl-tRNA synthetase:CARS)2は活性イオウ分子種の一種であるシステインパーサルファイドの合成酵素である。活性イオウ分子種やCARS2が癌に対して促進性に働くのか、抑制性に働くのか、そしてその機序は未知であり、本研究の目的はCARS2や活性イオウ分子種の癌における関与を明らかにすることである。 まず、当施設で集積している肺癌バイオバンク検体を用いた検討を行った。CARS2発現は手術摘出肺の非癌部位に比して、肺癌部位で低下していることが遺伝子発現レベルで明らかとなった。また、術後再発症例は非再発症例よりもCARS2のタンパク発現が低い傾向を認めた。肺癌部位における検討ではCARS2とその他イオウ代謝関連酵素であるsuccinate quinone reductase (SQR)、Ethylmalonic encephalopathy 1 protein(ETHE1)の遺伝子発現に正の相関関係を認めた。以上よりイオウ代謝と発癌には関連があり、個々の癌でイオウ代謝への依存度が異なり、癌の悪性度に寄与している可能性が示唆された。 In vitroにおいては、まず、ヒト肺癌細胞株であるA549へのsiRNA処理によりCARS2が効率よくノックダウンされることをqRT-PCR法とウエスタンブロット法により確認した。ノックダウンした細胞を培養すると細胞は紡錘形に変形し、増殖能力が40-50%低下した。フローサイトメトリーによる細胞周期の解析ではCARS2ノックダウン群でDNA合成期の割合が有意に減少した。現在、ノックダウンした際の活性イオウ分子種と酸化ストレスの変化を解析中である。
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