2018 Fiscal Year Annual Research Report
血中マイクロRNAの測定による食道癌化学放射線療法の治療効果予測に関する研究
Project/Area Number |
18H06156
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
武田 一也 東北大学, 大学病院, 助教 (80824177)
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Project Period (FY) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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Keywords | 食道癌 / 化学放射線療法 / マイクロRNA / 治療効果予測 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では化学放射線療法を受けた食道扁平上皮癌患者において、治療開始前及び開始後早期の血清サンプルを採取しそこに含まれるマイクロRNAを定量的に評価することにより、治療終了時点での治療効果を予測する手法を確立することを目的としている。 まずは化学放射線療法を受けた食道扁平上皮癌患者の血清サンプルの採取および治療前後のCT検査による治療効果判定を行った。特に本年度は、東北大学病院倫理委員会の承認を受け、患者血清サンプルの収集を開始した。倫理委員会の承認に予定より時間がかかり症例登録の開始が約3ヶ月遅れたものの、登録開始後は予定のペースで症例集積が進んでおり、年度内には予定している12例のうち4例まで登録および検体採取が完了した。次年度前半には予定している症例数の登録・検体採取を完了し、CT検査をもとにした治療後の効果判定及び血清中マイクロRNAの定量測定を行って、これらの関連性の検討をおこなう予定である。 また、血清サンプルのマイクロRNAの解析結果を踏まえて次年度に行う予定の細胞実験に用いる食道扁平上皮癌の細胞株2種類、細胞実験系の確立を行った。これに付随して細胞へのマイクロRNA導入や導入後の評価に必要な試薬類を購入・準備した。実際の導入実験は次年度以降となるが、本年度中に細胞実験の環境を整えることにより、患者サンプルからのマイクロRNAの解析が完了し次第速やかに細胞実験に入れる見通しを整えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
倫理委員会の承認に予定より時間がかかり症例登録の開始が約3ヶ月遅れた。その後は登録開始後は予定のペースで症例集積が進んでおり、年度内には予定している12例のうち4例まで登録および検体採取が完了した。現在のペースであれば次年度上旬には当初初年度内に予定していた血清マイクロRNAの測定が行える見込みである。 またこれにより、患者血清のマイクロRNAの測定結果をもとに行う予定である細胞実験についても本年度中には開始できない見通しである。これについては本年度中に細胞株の入手など進められる範囲での進捗を図った。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度も引き続き患者血清サンプルの収集を続け、早期に予定の12例の検体を確保することを目指す。血清中マイクロRNAの測定・解析実験については、登録スケジュールの遅れにより解析期間が十分に設けられない見込みであることから、マイクロRNAの測定を論文等で多数の採用実績のある外部機関に委託する方法に変更する予定とした。これにより解析期間の短縮やデータの信頼性の向上が期待できる。 血清サンプルの解析により治療感受性に関連する可能性があるマイクロRNAが同定できた場合、これを食道扁平上皮癌の細胞株においてノックダウンあるいは強制発現させる実験を行う。これによる放射線感受性の変化を定量評価することにより、血清サンプルの解析から示唆されたマイクロRNAが実際に放射線感受性に影響を及ぼしているかどうかを検証することができると期待される。 上記の実験遂行と並行して論文や学会での情報収集に努め、最新の知見を取り入れて適宜研究計画を最適化していく予定である。
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