2018 Fiscal Year Annual Research Report
Development of New Hybrid Treatment for Osteosarcoma Transplanting Controlled-release Pirarubicin Conjugated Adipose-derived Stem Cells
Project/Area Number |
18H06162
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
川上 洋平 神戸大学, 医学部附属病院, 医員 (50626570)
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Project Period (FY) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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Keywords | 脂肪組織由来幹細胞 / ドラッグデリバリー / 抗がん剤 / 骨肉腫 |
Outline of Annual Research Achievements |
脂肪組織由来幹細胞(adipose-derived stem cell: AdSC)は容易かつ多量に分離でき、がん細胞の増殖抑制・アポトーシス誘導効果及び腫瘍への集積能を有する。また、AdSCは局所においても抗炎症作用や線維化の抑制作用を有する。本研究では、このようなAdSCの性質を利用し、抗がん剤の徐放させることのできるナノ粒子Poly lactic/glycolic acid (PLGA)をAdSCに包合させて腫瘍に効率よく集積させることで、抗がん剤を局所的にがん組織に作用させる事が可能となり、AdSCの抗腫瘍効果に加えて抗がん剤の選択的デリバリーとの相乗効果による、骨肉腫への新たな細胞治療戦略について検討する。 まず、抗がん剤内包PLGAナノ粒子のAdSCへの包合方法の検討と最適化を行った。AdSCは、マウス脂肪組織から分離し、ピラルビシン内包PLGAナノ粒子(封入率(濃度)3-4%・平均粒子径300-400nm)を培養AdSCと共培養することによって細胞に包合させ、顕微鏡下にAdSCに内包化されている事を確認した。In vitroでAdSC抗癌剤包合体は抱合後7日まではAdSC 自体の増殖能や遊走能に影響なく、21日まで抗癌剤が徐放されている事が確認された。がん細胞(MG63)との共培養では5-7日目以降で増殖抑制効果を認めた。 In vivoでは、ヌードマウス皮下腫瘍モデルを用いて、IVIS in vivo imaging systemを用いて経静脈的に移植したAdSCが腫瘍への集積する事を確認した。また、細胞移植後4週で抗がん剤内包PLGAナノを抱合させたAdSC群で有意な腫瘍増大抑制および線維化抑制を認めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
In vitroでは、抗がん剤(ピラルビシン)内包PLGAの薬剤徐放化のタイミングを2パターン(短期、中期)作成したが、短期ではAdSCの細胞増殖能が抱合後早期に低下した為、抗がん剤濃度や徐放化のタイミングを遅らせ最適化を行った。ピラルビシン内包PLGAナノ粒子(封入率(濃度)3-4%・平均粒子径300-400nm)を培養AdSCと共培養することによって細胞に包合させ、顕微鏡下にAdSCに内包化されている事を確認した。徐放化抗癌剤ナノ粒子包合AdSCは抱合後7日まではAdSC 自体の増殖能や遊走能に影響なく、21日まで抗癌剤が徐放されている事が確認された。がん細胞(MG63)との共培養では5-7日目以降で増殖抑制効果を認めた。 In vivoでは、ヌードマウス皮下腫瘍モデルを用いて徐放化抗がん剤ナノ粒子包合AdSC移植による腫瘍縮小効果を確認した。ヒト組織由来の骨肉腫細胞(MG63)1x106と100µLのMatrigel(BD Bioscience)を混合した細胞溶液をヌードマウスの背側皮下に局所注射により移植した。移植2-3週間後、マウスの背部に形成される腫瘤が径5mmになった時点で 抗がん剤内包PLGA抱合AdSC(5x105/マウス)を尾静脈からの経静脈的に担がんマウスに移植した。IVIS in vivo imaging systemを用いて移植したAdSCの腫瘍への集積を確認した。また、細胞移植後4週では抗がん剤内包PLGAナノを抱合させたAdSC群で有意な腫瘍増大抑制および線維化抑制を認めたが、移植後早期のタイミングではまだデータ数が十分ではなく、有意差は得られていない。 In vitroで内包した抗がん剤によるAdSCの細胞死タイミングと抗がん剤徐放効果を確認でき、In vivoでの実験系へ進める事ができ概ね順調に進んでいると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
In vivoではヌードマウス皮下腫瘍モデルを用いて徐放化抗がん剤ナノ粒子包合AdSC移植による腫瘍縮小効果を経時的推移によって評価する。ヒト組織由来の骨肉腫細胞(MG63)1x106と100µLのMatrigel(BD Bioscience)を混合した細胞溶液をヌードマウスの背側皮下に局所注射により移植し、移植2-3週間後、マウスの背部に形成される腫瘤が径5mmになった時点で固形がんのモデルとして実験に使用する。治療群として1.PBS、2.薬剤非抱合PLGA内包AdSC、3.ピラルビシン内包PLGA包合AdSC、の3群に分けて腫瘍縮小治療効果を比較検討する。 今後の研究の推進方策としては、徐放化抗癌剤ナノ粒子包合AdSC移植によるin vivoでの腫瘍縮小効果のメカニズムを解明するため、治療後の腫瘍組織を免疫組織化学的及び分子生物学的に解析し、臨床試験のために重要な治療効果についてのメカニズムの解明を目指す。具体的には治療後7日目及び28日目の時点でマウスを解剖し、腫瘍組織を摘出して組織標本を作製する。腫瘍内毛細血管密度を血管内皮特異的マーカーであるIsolectinB4を用い、細胞増殖に関しては抗Ki67抗体を用いた免疫組織化学的に解析を行う。また、腫瘍組織内アポトーシスについてはTUNEL染色法、腫瘍内繊維化定量のためにはマッソントリクローム染色によって定量解析を行う予定である。
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