2019 Fiscal Year Annual Research Report
Development of New Hybrid Treatment for Osteosarcoma Transplanting Controlled-release Pirarubicin Conjugated Adipose-derived Stem Celll
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19K21272
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
川上 洋平 神戸大学, 医学部附属病院, 医員 (50626570)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 脂肪組織由来幹細胞 / 骨肉腫 / 抗がん剤 / ドラッグデリバリーシステム |
Outline of Annual Research Achievements |
脂肪組織由来幹細胞(adipose-derived stem cell: AdSC)は、低侵襲的かつ大量に組織から分離できる体性幹細胞であり、がん細胞の増殖抑制・アポトーシス誘導効果及びがんへの集積能を有する。また、局所においても抗炎症作用や線維化抑制作用を有する。本研究では、このようなAdSCの性質を利用し、抗がん剤を徐放させることのできるPLGAナノ粒子を作製し、AdSCに包合させて腫瘍に効率よく集積させることで、抗がん剤を局所的にがん組織に作用させる事が可能となり、AdSCの抗腫瘍効果に加えて抗がん剤の選択的デリバリーとの相乗効果による、骨肉腫への新たな細胞治療戦略について検討した。 In vitroでは、抗がん剤内包PLGA粒子はAdSCとの24時間の共培養で適切に細胞内に取り込まれている事が確認され、AdSC抗がん剤抱合体は骨肉腫細胞株との共培養では7日目以降でがん細胞増殖抑制効果を認めた。In vivoではIVISで移植したAdSCが腫瘍部に集積している事を確認した。腫瘍サイズの経時的評価では、抗がん剤抱合AdSC移植群で有意な腫瘍増大抑制効果を認め、組織学的にも術後5週でKi67陽性細胞の減少を認めた。マッソントリクローム染色では細胞移植群で腫瘍の線維化抑制効果が確認された。また、術後5週の腫瘍組織を用いたqPCRでは、HIF-1、MMP、MMP9 の発現低下を認め、腫瘍内低酸素状態の改善が確認された。AdSC移植により、局所で腫瘍の線維化抑制効果を引き起こし、腫瘍内低酸素化の改善、抗がん剤の腫瘍内への集積が改善された可能性が示唆された。本研究の結果から骨肉腫に対する新たなDrug delivery systemとしてAdSCの有用性が示され、薬剤DDSによる化学療法と細胞移植によるがん治療をフュージョンさせた新しいハイブリッド型治療法の可能性が示唆された。
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