2019 Fiscal Year Research-status Report
GPR15に着目した難治性消化器癌に対する新規治療法の開発
Project/Area Number |
19K21279
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
古川 賢英 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (80624973)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | リコンビナントトロンボモジュリン / 消化器癌 / 新規治療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではヒト膵臓癌細胞株である、PATC66を用いて実験を開始した。まず、PATC66に実臨床で膵臓癌治療に用いられる抗癌剤であるnab-PTXを濃度を振って投与し、cell viabilityを評価することで、本研究で用いるnab-PTXの投与濃度を決定した。次に未治療群、nab-PTX単剤群、リコンビナントトロンボモジュリン(rTM)単剤群、nab-PTXとrTMのcombination群の4群を対象として、cell viabilityを評価したところ、rTM単剤での細胞増殖抑制効果、及びnab-PTX単剤に比べcombination群での細胞増殖抑制の上乗せ効果を認めた。別のヒト膵臓癌細胞株を使用して同様の実験を施行したところ明らかな細胞増殖抑制効果を認めなかった。同様の4群でアポトーシスシグナルをWestern blotで評価したところ、rTM単剤での明らかなアポトーシスシグナルの亢進は認めなかったが、combination群ではnab-PTX単剤に比べアポトーシスシグナルの増強を認めた。また、同様の実験をヒト大腸癌細胞株においても評価したところ、一部の細胞株ではPATC66同様に抗癌剤にrTMを併用することでcell viabilityの低下の上乗せ効果を認めた。 以上の結果からリコンビナントトロンボモジュリンは膵臓がんのみならず、癌種に寄らず細胞増殖抑制効果を持つことが示され、難治性消化器癌に対する汎用性の高い新規治療薬として使用できる可能性があることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究で使用するメイン薬剤であるリコンビナントトロンボモジュリンの入手に時間がかかり、実験開始時期が大幅に遅れたため。また、本研究は難治性消化器癌のターゲットとして、予後不良の悪性腫瘍である膵臓癌をターゲットに研究を開始したが、膵臓癌の細胞株の中でも細胞増殖抑制効果を認める細胞株とそうでない細胞株が存在することが考えられた。そのため、臓器横断的な検討を行うべく大腸癌細胞株についても検討を始めた結果、当初の実験計画に比べ遅れが生じている。しかしながら、リコンビナントトロンボモジュリンが細胞増殖抑制効果を示す機序を解明するうえで、様々な癌種で評価することは有益であると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでMTT assayによる細胞増殖抑制効果の評価とWestern blotによるアポトーシスシグナルの評価を行ってきた。今後はフローサイトメトリーを用いてアポトーシス細胞の評価をまず行う。また、実際にリコンビナントトロンボモジュリンが細胞増殖抑制効果を生じる機序を解明するために、細胞増殖抑制効果を示す細胞株とそうでない細胞株での違いを検討していく。具体的には本研究でターゲットにしているGPR15を中心に各種蛋白や転写因子の発現量に着目していく予定である。また、マウスの膵臓癌皮下腫瘍モデルを作製し、動物実験においてもIn vitroの実験と同様にリコンビナントトロンボモジュリンとnab-PTXの併用が有効であるかを評価する。
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Causes of Carryover |
本研究で使用するメイン薬剤であるリコンビナントトロンボモジュリンの入手に時間がかかり、実験開始時期が大幅に遅れた。また、本研究は難治性消化器癌のターゲットとして、予後不良の悪性腫瘍である膵臓癌をターゲットに研究を開始したが、膵臓癌の細胞株の中でも細胞増殖抑制効果を認める細胞株とそうでない細胞株が存在することが考えられた。そのため、臓器横断的な検討を行うべく大腸癌細胞株についても検討を始めた結果、当初の実験計画に比べ遅れが生じている。以上の理由により2019年度までとなっていた研究費を1年延長させていただいたため、次年度使用額が生じた。今後はフローサイトメトリーを用いてアポトーシス細胞の評価をまず行う。また、実際にリコンビナントトロンボモジュリンが細胞増殖抑制効果を生じる機序を解明するために、細胞増殖抑制効果を示す細胞株とそうでない細胞株での違いを検討していく。具体的には本研究でターゲットにしているGPR15を中心に各種蛋白や転写因子の発現量に着目していく予定である。また、マウスの膵臓癌皮下腫瘍モデルを作製し、動物実験においてもIn vitroの実験と同様にリコンビナントトロンボモジュリンとnab-PTXの併用が有効であるかを評価する。
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