2018 Fiscal Year Annual Research Report
コリン性抗炎症経路における免疫細胞活性化機序の解明
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18H06192
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
井上 剛 東京大学, 医学部附属病院, 特任助教 (30821665)
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Project Period (FY) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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Keywords | 急性腎障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は,野生型マウスおよびα7nAChRノックアウトマウス(アセチルコリン受容体の一つが欠損したマウス)より単離したマクロファージを用いて,受容体刺激後(アセチルコリン受容体刺激)移入実験を行った.その結果,受容体を持つ野生型マウスから単離したマクロファージを刺激後移入することによって腎臓が急性腎障害より保護されることを見出した.この腎臓保護効果は,α7nAChRノックアウトマウス由来のマクロファージを移入しても認めないことから,α7nAChR陽性マクロファージが生体内で腎臓保護に重要な役割を果たしていることが明らかとなった. さらに,迷走神経刺激によるコリン性抗炎症経路(迷走神経刺激によって誘導される抗炎症経路)を介した腎臓保護効果のメカニズムを解明するために,マクロファージのアセチルコリン受容体刺激に伴う遺伝子の網羅的な発現解析を行った.(具体的には,野生型マウスおよびα7nAChRノックアウトマウスからマクロファージを単離し,ニコチン投与(アセチルコリン受容体アゴニスト)を行うことで,コリン性抗炎症経路の活性化を模倣し,マクロファージにおける遺伝子発現の網羅的解析(RNA-seq)を施行した.)今後,ニコチン刺激にて誘導される遺伝子(なかでもα7アセチルコリン受容体を介して誘導される遺伝子)に着目し,遺伝子の発現調節(過剰発現および発現抑制)を行うことで,迷走神経刺激によって得られる抗炎症効果・腎臓保護効果に重要な遺伝子の同定を目指す予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記のように,申請者は,野生型マウスおよびα7nAChR(アセチルコリン受容体)ノックアウトマウスより単離したマクロファージを用いて,受容体刺激後(アセチルコリン受容体刺激)移入実験を行った.その結果,受容体を持つ野生型マウスから単離したマクロファージを刺激後移入することによって腎臓が急性腎障害より保護されることを見出した.この保護効果は,α7nAChRノックアウトマウス由来のマクロファージを移入しても認めないことから,α7nAChR陽性マクロファージの生体内での重要性が明らかとなった. さらに,コリン性抗炎症経路(迷走神経刺激によって誘導される抗炎症経路)活性化に関わる重要な因子(遺伝子)を新規に同定するために,野生型マウスおよびα7nAChRノックアウトマウスからマクロファージを単離し,ニコチン投与(アセチルコリン受容体アゴニスト)を行うことで,コリン性抗炎症経路の活性化を模倣し,遺伝子発現の網羅的解析(RNA-seq)を行った.今後,得られた結果より,候補の遺伝子の発現調節(過剰発現および発現抑制)を行うことで,遺伝子の機能解析を行う予定であり,提案した研究は順調に進展してると思われる.
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Strategy for Future Research Activity |
上記の研究を遂行するなかで,マクロファージの抗炎症作用に関する新たな知見が得られつつあり,当初の予定に加え,新たな知見をもとにした研究も推進する予定である.
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Research Products
(3 results)