2018 Fiscal Year Annual Research Report
肥満心筋症の病態形成におけるCD206陽性M2マクロファージの意義の検討
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18H06195
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
劉 建輝 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 特命助教 (80828640)
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Project Period (FY) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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Keywords | 肥満心筋症 / M2マクロファージ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では肥満心筋症の病態形成におけるCD206陽性M2マクロファージの意義の検討を目的とした。 初年度においては、ジフテリア毒素(DT)投与によりCD206(+)M2マクロファージを任意のタイミングで除去できるCD206DTRマウス(TG群)とワイルドタイプマウス(WT群)において、6週齢から12週間に亘って高脂肪食餌を与えた。15週齢からDTを二日一回で注射を始めて、18週齢でサクリファイスして、心尖部心筋におけるマクロファージと肥満心筋症との関連遺伝子の発現レベルをRT-PCR法で確認した。全体を通して、WT群に比してTG群では、M2マクロファージマーカーのMRC1、IL-10、Arg1とM1マクロファージマーカーのCD11c、TNFαの発現低下が認められた。線維化関連遺伝子のTGFβ1、Col1a1、Col4a1、ACTA2の発現上昇が認められた。マトリックスメタロプロテアーゼ遺伝子発現のMMP7、MMP9の低下とMMP2、MMP12の上昇が認められた。心筋症関連遺伝子のTMP1a、ACTC1、MYH6、GATAD、TAZの発現上昇と血管新生関連遺伝子のCD31、VEGFb、VEGFr1の発現上昇が認められた。今回の検討で、高脂肪食誘導の肥満マウスの心臓では、M2マクロファージの除去により、心筋症関連遺伝子、血管新生と線維化マーカーの増悪傾向が認められた。以上よりM2マクロファージの除去は肥満心筋症の病初期の脂肪組織における血管増生と肥満心筋症の終末像である心臓での間質繊維化亢進に対し保護的に作用することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
肥満心筋症の病態形成とCD206陽性M2マクロファージとの関連性を遺伝子発現レベルでの解析は順調に達成できた。肥満心筋症の病態形成とCD206陽性M2マクロファージとの関連性を形態的と機能の解析は現段階で未達成であるが、マウスに心機能を評価するための心電図(ECG)と形態評価するための核磁気共鳴画像法(MRI)の応用を成功しているため、速やかに多次元の解析を推進できる状況にある。
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Strategy for Future Research Activity |
高脂肪食負荷のCD206DTRマウスにおける心機能・心筋組織の解析:生存率、組織重量、MRI、心電図所見、組織学的解析、リアルタイムPCR、フローサイトメトリー、免疫ブロット法、免疫組織染色での評価を行う。
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