2019 Fiscal Year Annual Research Report
肥満心筋症の病態形成におけるCD206陽性M2マクロファージの意義の検討
Project/Area Number |
19K21300
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
劉 建輝 富山大学, 学術研究部医学系, 特命助教 (80828640)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | M2マクロファージ / 肥満心筋症 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では肥満心筋症の病態形成におけるCD206陽性M2マクロファージの意義の検討を目的とした。初年度では、CD206DTRマウスとワイルドタイプマウスにおいて検討した。高脂肪食誘導の肥満マウスの心臓では、M2マクロファージの除去により、心筋症関連遺伝子、血管新生と線維化マーカーの増悪傾向が認められた。次年度においては、CD206遺伝子を欠損させたCD206KOマウス(KO群)とワイルドタイプマウス(WT群)において検討した。6週齢から12週に亘り普通食を投与して飼育した。18週齢に心臓を摘出し、心尖部からRNAを抽出し、qPCR法にてKO群とWTの二群に分けて遺伝子発現レベルを検討した。全体を通して、WT群に比してKO群では、M2マクロファージマーカー発現の低下が認められた。MΦマーカー F4/80とM1マーカー CD11c & TNFaとCD206以外のM2マクロファージマーカー発現の上昇が認められた。線維化遺伝子の発現上昇、Col1a1、Col3a1、Col4a1とTGFβ1、TGFβ2、TGFβ3とACTA2が認められた。マトリックス関連遺伝子の発現上昇、mmp7、mmp12、timp1が認められた。心不全関連遺伝子のBNPおよびATⅡの上昇が認められた。今回我々はCD206KOマウスでは心筋肥大および線維化関連遺伝子の発現亢進が進行してくることを観察した。以上よりM2マクロファージは肥満心筋症の病初期の脂肪組織における血管増生と肥満心筋症の終末像である心臓での間質繊維化亢進に対し保護的に作用することが示唆された。また肥満心筋症の表現型である心臓での間質繊維化亢進の結果で生じる心筋肥大およびその終末像である心不全に対し、サルコメア遺伝子と線維化関連遺伝子の制御に通じて、保護的に作用し心不全治療の有望な治療標的になりうることが強く示唆された。
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Research Products
(1 results)