2018 Fiscal Year Annual Research Report
Establishment of treatment for acute sichemic stroke focusing on astrocytic TRPV4
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18H06198
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
田中 弘二 九州大学, 医学研究院, 学術研究員 (50722344)
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Project Period (FY) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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Keywords | アストロサイト / TRPV4 / 脳血管障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々のマウス脳虚血再灌流モデルを用いた過去の実験において、TRPV4ノックアウトマウスは野生型マウスと比較して梗塞サイズが小さく、脳浮腫も軽減されることが明らかとなったが、その機序をより明らかにするため、血液脳関門(blood brain barrier; BBB)の保護効果に注目して実験を継続した。 まず、Evans blueの血管外漏出に関して実験を行った。脳虚血再灌流モデル作成46時間後に尾静脈よりEvans blueを投与し、2時間後に生理食塩水で灌流後、脳を取り出し、ホルムアミド中に静置したのちに吸光光度計を用いて620nm吸光度を測定し、脳組織に漏出したEvans blueの量を計算した。その結果、TRPV4ノックアウトマウスでは野生型と比較して有意にEvans blueの血管外漏出が少なかった。次にBBB構成蛋白であるZO-1、occludinのウエスタンブロットを行った。脳虚血再灌流モデル作成48時間後にマウスを生理食塩水で灌流後、脳を取り出し、RIPAバッファーを用いて蛋白を抽出、調整しウエスタンブロットを行った。その結果、TRPV4ノックアウトマウスではBBBの構成蛋白であるZO-1、occludinの発現が野生型と比較して有意に保たれていた。 さらに、BBBを直接観察するため、透過型電子顕微鏡での観察を試みた。九州大学生体防御医学研究所の協力のもと、脳虚血再灌流後6時間後の脳サンプルを用いて脳毛細血管を観察した。その結果、野生型マウスでは著明な血管周囲のアストロサイトの足突起の浮腫が観察されたのに対して、TRPV4ノックアウトマウスではその浮腫性変化は比較的軽度であった。 これらの結果から、TRPV4はアストロサイトの足突起の浮腫を軽減し、BBBを保持することで梗塞サイズの縮小や浮腫の軽減に関与していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
マウス用定位脳固定装置が受注から納品まで約2か月を要した。現在、1%トルイジンブルーを脳室内へ投与直後にマウスを深麻酔下に安楽死させ、脳室内への投与が成功しているかどうかの確認を行っている。また、ウエスタンブロットにおける各種条件検討、Evans blueの尾静脈注射において、手技に熟練を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、野生型マウスに対してTRPV4阻害薬を経脳室的、経静脈的に投与したのちに脳虚血再灌流モデルを作成、各投与方法でのTRPV4阻害薬による脳梗塞、脳浮腫の軽減効果を調べる予定である。また、幼弱マウスから採取したアストロサイト、血管内皮細胞、ペリサイトの培養細胞を用いたin vivo BBB再構築モデルを用いて、低酸素負荷によるBBBの透過性亢進に対してTRPV4が与える影響に関して検討を行うため、準備を進めている。
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