2019 Fiscal Year Annual Research Report
Establishment of treatment for acute ischemic stroke focusing on TRPV4
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19K21303
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
田中 弘二 九州大学, 大学病院, 医員 (50722344)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | TRPV4 / ノックアウトマウス / 脳梗塞 / アストロサイト / 脳浮腫 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々はアストロサイト足突起にAQP4チャネルと共発現する陽イオンチャネルであるTransient Receptor Potential Vanilloid 4(TRPV4)に注目し、TRPV4の急性期脳梗塞における新規治療標的としての有用性を明らかにするために下記の実験を行った。 Trpv4ノックアウトマウスと野生型マウスに対して右中大脳動脈一過性閉塞による脳虚血再灌流モデルを作成した。Trpv4ノックアウトマウスは野生型マウスと比較して脳虚血再灌流24時間後のTTC染色における梗塞サイズが小さく、脳虚血再灌流48時間後の脳水分含有量が少なく神経障害スコアは軽症であった。血液脳関門(blood brain barrier; BBB)の評価のためEvans Blue(EB)の漏出量の評価とzonula occludens(ZO)-1、occludinのウエスタンブロットを行ったところ、脳虚血再灌流48時間後にTrpv4ノックアウトマウスではEB漏出量が少なくZO-1、occludinの発現が野生型マウスと比較して保たれていた。脳虚血再灌流6時間後の脳切片を用いて線条体の脳細小血管を透過型電子顕微鏡で観察したところ、野生型マウスではアストロサイト足突起の浮腫による血管内腔の狭小化がみられたのに対して、Trpv4ノックアウトマウスではその変化が軽度であった。本研究結果から急性期にTRPV4を抑制することは再灌流直後のアストロサイト足突起の浮腫を軽減し、BBBを保持することで脳損傷を軽減していると推察された。 本研究で得られた知見をまとめ、学会発表ならびに論文報告を行った。今後もマウス脳虚血再灌流モデルでのTRPV4阻害薬投与による脳保護効果の検証を行うとともに、培養細胞を用いたBBB再構築モデルにおける実験を継続し、TRPV4を標的とした急性期脳梗塞の新規治療法の確立を目指す。
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