2018 Fiscal Year Annual Research Report
新規脳内因子NPGL及びNPGMの新たなエネルギー代謝調節機構の解明
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18H06199
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
鹿野 健史朗 大分大学, 医学部, 助教 (10825681)
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Project Period (FY) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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Keywords | 視床下部 / 神経ペプチド / エネルギー代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者らはこれまでに、間脳視床下部から分泌性の小タンパク質をコードする新規遺伝子(Neurosecretory protein GL ;NPGL及びNeurosecretory protein GM ;NPGM)を発見し、両遺伝子がエネルギー代謝調節機構に関与することを明らかにしている。本研究課題では、CRISPR/Cas9システムを用いてNPGLならびにNPGM遺伝子欠損マウスを作製・解析し、その生理機能を明らかにすることを目的とした。 本年度は、CRISPR/Cas9システムを用いてゲノム編集を行い、NPGL及びNPGMの遺伝子欠損マウスを作製した。NPGLあるいはNPGMに対する特異的PAM配列を導入したノックアウトベクター及びCas9タンパク質をエレクトロポレーション法によりC57BL/6系統のマウスの受精卵に注入し、遺伝子欠損マウスの作製を試みた。その結果、NPGLあるいはNPGMの成熟タンパク質領域を含む約350bpの領域を欠損した遺伝子配列を持つ、NPGLあるいはNPGM遺伝子欠損マウスの作出に成功した現在、NPGL/NPGMの生理機能解析をおこなうために各単遺伝子欠損マウス及び両遺伝子欠損マウスの交配を行い、個体数の確保を進めている。 これまで、NPGL/NPGMシステムに関しては投与実験などによるgain of functionを解析し生理機能解明を行っていたが、本研究により、loss of functionの解析による内因性NPGL/NPGMの詳細な生理機能解析が可能となった。本研究課題を発展させることで、新たな中枢性エネルギー代謝調節機構の解明に繋がり、肥満症改善のための基礎医学的知見の発見に結び付くことが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
NPGL及びNPGM遺伝子の遺伝子欠損マウスの作出に成功し、表現型解析に向けて繁殖も順調に進んでいる。また、NPGL/NPGM両遺伝子欠損マウスの作製にも着手し、来年度の解析に向けて準備を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、本年度に作出したNPGL/NPGM遺伝子欠損マウス及びそれらの両遺伝子欠損マウスについて表現型解析を行う。まずは食欲やエネルギー代謝、脂質代謝に着目して分子生物学的手法、生化学的手法、形態学的手法を用いて、コントロールマウスと比較して摂食量や体重及びエネルギー代謝量、脂肪量の減少、de novo脂肪合成の抑制を生じるかを明らかにする。また、高カロリー食を用いた飼料選択実験や骨長や筋肉量を測定し、本システムが食餌嗜好性や個体成長に関与しているかを解析する。これらの解析を通じて、NPGL/NPGMシステムの生理機能や分子メカニズムを明らかにする。
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Research Products
(4 results)