2019 Fiscal Year Annual Research Report
新規脳内因子NPGL及びNPGMの新たなエネルギー代謝調節機構の解明
Project/Area Number |
19K21304
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
鹿野 健史朗 大分大学, 医学部, 助教 (10825681)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 視床下部 / 神経ペプチド / エネルギー代謝 / 肥満 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者らはこれまでに、間脳視床下部から分泌性の小タンパク質をコードする新規遺伝子(Neurosecretory protein GL ;NPGL及びNeurosecretory protein GM ;NPGM)を発見し、両遺伝子がエネルギー代謝調節機構に関与することを明らかにしている。本研究課題では、CRISPR/Cas9システムを用いてNPGLならびにNPGM遺伝子欠損マウスを作製・解析し、その生理機能を明らかにすることを目的とした。まず本研究では、CRISPR/Cas9システムを用いてゲノム編集を行い、NPGL及びNPGMの遺伝子欠損マウスを作製した。NPGLあるいはNPGMに対する特異的PAM配列を導入したノックアウトベクター及びCas9タンパク質をエレクトロポレーション法によりC57BL/6系統のマウスの受精卵に注入し、遺伝子欠損マウスの作製を行った。その結果、NPGLあるいはNPGMの成熟タンパク質領域を含む約400bpの領域を欠損した遺伝子配列を持つ、NPGLあるいはNPGM遺伝子欠損マウスの作出に成功した。さらに表現型解析の結果、高脂肪食給餌条件下においてNPGL及びNPGM両遺伝子欠損マウスが野生型マウスに比べて体重が減少した。したがって、NPGL及びNPGM両遺伝子欠損マウスは食餌誘導性肥満を抑制することが明らかになった。現在、この肥満抑制の分子メカニズムについて検討を行っている。 本研究により、NPGL及びNPGL遺伝子欠損マウスの作出に成功し、その表現型の一端を明らかにした。本研究課題を発展させることで、新たな中枢性エネルギー代謝調節機構の解明に繋がり、肥満症改善のための基礎医学的知見の発見に結び付くことが期待される。
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