2020 Fiscal Year Annual Research Report
腎臓再生における慢性腎不全患者由来iPS細胞の有用性の検証
Project/Area Number |
19K21307
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
田尻 進 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (50646362)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 慢性腎不全 / ネフロン前駆細胞 / iPS細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
慢性腎臓病(Chronic kidney disease, CKD)に対する新規治療法として腎臓再生療法が注目を集めている。特に induced pluripotent stem cells (iPS細胞)はCKD患者自身から樹立可能であり、患者由来の腎臓再生を可能にする。CKDの主な原因は糖尿病や腎炎などの後天的疾患であり、これらの疾患による CKD 患者が腎臓再生療法の主たるターゲットとなる。本研究では「後天的疾患によりCKDに至った患者由来のiPS細胞」と「健常者由来iPS細胞」の、ネフロン前駆細胞への分化能ならびにネフロン前駆細胞の機能の比較を行い、腎臓再生における CKD 患者由iPS 細胞の有用性を検証する。その有用性が示されれば、申請者らが開発した「ネフロン前駆細胞を用いた腎臓再生法」および「再生腎臓から尿を排泄する方法」と組み合わせることで、CKD患者のiPS 細胞から尿排泄能を持った腎臓を再生することができると考える。 3名の血液透析をうけている患者由来iPS細胞の樹立ならびに、ネフロン前駆細胞、ネフロンへの分化誘導に成功した。3名の健常者由来iPS細胞と比較し、ネフロン前駆細胞、ネフロンへの分化誘導効率が同等であることを示した。透析患者、健常者iPS細胞由来ネフロン前駆細胞、ネフロンの遺伝子発現量の比較、ネフロンに含まれる糸球体の血管誘導能を比較した結果、両群間で明らかな差がないことを示した。この結果は、血液透析患者由来iPS細胞が腎臓再生の有用なツールとなることを示すものである。 将来的には、再生した腎臓を腎不全患者に移植することを想定しているので、iPS由来のネフロン前駆細胞が腎不全環境化で育つことができるのかも合わせて検証を行い、腎不全環境を模倣した環境(In vitro)であれば、問題なくネフロンへと分化できることを確認した。
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