2019 Fiscal Year Annual Research Report
メラノコルチンシステムの赤血球造血および骨髄形成機構におけるin vivo解析
Project/Area Number |
19K21308
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
増田 なつみ 金沢医科大学, 医学部, 助教 (80823286)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 赤血球 / 造血 / メラノコルチン / ACTH / メラノコルチン受容体 / MC5R / ノックアウトマウス |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト臍帯血由来幹細胞から誘導した赤芽球には副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)およびその誘導体の受容体であるメラノコルチンレセプター(MCR)が発現しており,赤芽球の各分化段階においてACTHの刺激を受けて下流のシグナルを調節することが所属研究室の研究により明らかにされている(Simamura et al., 2015)。ヒト臍帯血由来造血幹細胞を用いたin vitro実験系で見出された赤芽球成熟分化におけるACTHの作用が生体においても生理的に機能しているかについて明らかにすることを目的として,ノックアウトマウスを用いたin vivo系での解析を行った。 初年度に,生理的状況での雄雌のヘテロおよびホモ接合型MC5Rノックアウトマウスを用い,赤血球数,赤血球の直径,赤血球の形態,造血器官の組織重量(脾臓,肝臓)および形態(骨髄,脾臓,肝臓)について野生型マウスと比較した。その結果,いずれの検査項目においても,MC5Rノックアウトマウスと野生型マウスの間に明らかな違いは認められなかった。最終年度には,貧血に対する造血能を比較する目的で,瀉血モデルを作成して同様の検討を行った。しかしながら,貧血状態においても,ノックアウトマウスと野生型マウスの間で,上記検査項目に有意な差は認められなかった。骨髄造血幹細胞におけるメラノコルチン受容体の発現解析ならびに,骨髄局所におけるメラノコルチン(POMC,ACTH,α-MSH)の発現解析については遂行中であるが,結論を出すには至らなかった。 MC5R欠損に対して,MC2Rが補償している可能性が考えられるため,研究室で維持されているMC2R(-/+)とMC5R(+/+)の交配によるダブルノックアウトマウスを用いた実験系の立ち上げを完了した。今後,この実験系を用いて研究を進める予定である。
|