2019 Fiscal Year Annual Research Report
血管性認知症:脳小血管病の臨床病理診断基準の確立へ向けて
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19K21314
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
齋藤 理恵 新潟大学, 脳研究所, 助教 (80829078)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | small vessel disease / leukoencephalopathy / vessel twisting / vascular dementia / 3D neuropathology |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では純粋な脳小血管病(SVD)を有するヒト疾患脳に対して従来の薄切片における病理学的解析と,組織透明化による高解像度3D病理学的解析手法を用いて,認知症の原因となる白質変性の発生機序解明を試みることを目的とし,以下の知見を得た. (1)2D解析 脳小血管病の剖検脳を用い,免疫染色を用いた詳細な解析を行った.①SVDの白質変性においては軸索よりも髄鞘脱落が先行すること,②arterioleを起点に変性が広がる,③SMAの脱落が白質変性に最も寄与する. (2)3D解析 ①新規プロトコールの開発:ヒト脳剖検サンプルの3D蛍光イメージングを実施するため、透明化後の褐色状の自家蛍光の抑制,脱脂の迅速化に取り組み,新規プロトコールを開発した(Inoue, Saito, Kakita, Tainaka, Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters 2019;29(15):1886-1890).②脳小血管病でSMA脱落部位が異なる:CADASILは白質の毛細血管で変性が特に強い.HTRA1-AD病では髄軟膜から白質の中等度の変性が強い.③髄内血管の分枝パターンの解明:髄内血管は分枝の出し方から大きく3つに分類される.1)皮質内に分枝を出し皮質内で収束2)皮質内に分枝を出して皮質下まで貫通する3)皮質内に分枝を出さず皮質下を貫通する④脳小血管病の血管の蛇行パターン:正常脳でも2)や3)の白質内で蛇行を認める.一方,脳小血管病では1)で強い蛇行が生じ,何らかの血行力学的負荷を与えていると推測される.
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Research Products
(7 results)