2019 Fiscal Year Annual Research Report
ナトリウム利尿ペプチドの転写制御機構の解明と心不全治療への応用
Project/Area Number |
19K21315
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松岡 研 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (90826190)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | CR9 / エンハンサー / 心不全 / ナトリウム利尿ペプチド |
Outline of Annual Research Achievements |
ナトリウム利尿ペプチド(ANP/BNP)両遺伝子はゲノム上隣接して存在し、その遺伝子産物は血管拡張・利尿作用を持つペプチド性ホルモンであり、心不全重症度指標・心不全治療薬として臨床で頻用されている。我々は不全心におけるANP/BNP の発現を誘導する機序を解明するため、先行研究にてANP/BNP 遺伝子を誘導する650 塩基からなる心不全感受性エンハンサー領域(CR9)を新規に同定した。しかしCR9 が誘導される機序は依然として不明である。本研究において、同定したANP/BNP エンハンサー(CR9)がどのような刺激で誘導されるかを解明することを試みた。 まずは培養細胞レベルで評価するために、CR9領域 650bpにレポーター(Luciferase)遺伝子を繋げた配列を培養心筋細胞に導入し、内因性ANP/BNPの発現と高い相関性をもって発光測定でCR9エンハンサー活性を評価できる系を確立した。培養心筋細胞に交感神経受容体刺激や伸展刺激・圧負荷刺激を行い、エンハンサー活性を評価すると、CR9は交感神経受容体刺激・進展刺激・圧負荷刺激のいずれにおいても活性化され、CR9は交感神経受容体刺激・機械的刺激のいずれに対しても応答するエンハンサーであることが示唆された。 次にin vivoにおいてエンハンサーを誘導する刺激を評価するために、先行研究で作成したCR9-Luciferaseトランスジェニックマウスに対して、薬剤性心肥大モデルや薬剤性心不全モデルにおいて、発光ライブイメージングで心臓におけるエンハンサー活性を評価したところ、心肥大モデル・心不全モデルのいずれにおいてもCR9エンハンサー活性は誘導された。以上より、CR9エンハンサーはANP/BNP発現を誘導する様々な刺激に対して感知するエンハンサーであることが示唆された。
|