2018 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍内浸潤リンパ球の遊走・活性化に関わる新規Gタンパク質共役型受容体の探索
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18H06225
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
住田 隼一 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (30609706)
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Project Period (FY) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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Keywords | 腫瘍内浸潤リンパ球 / Gタンパク質共役型受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、免疫チェックポイント阻害薬等の登場と適応拡大により、癌病態における免疫担当細胞の役割、中でも腫瘍内浸潤リンパ球(Tumor-infiltrationg lymphocyte;TIL)の重要性が注目されている。そこで、今回、癌細胞に対して細胞障害活性を持つCD8陽性のTILに注目した解析を一部実施し、また検討している。現在までに、マウスに腫瘍細胞を移植し、腫瘍が形成されること、また、腫瘍中にTILが存在することを組織学的に、あるいは、フローサイトメトリー等により、確認している。また、これらTILの浸潤に重要と思われるGタンパク質共役型受容体の候補について現在検討を行っている。今後、注目すべき受容体の選定と詳細な機能解析を予定しているが、複数の種類の癌(細胞株)を移植する実験を行い、得られた結果に癌種特異性がみられるかについても幅広く検討する予定である。悪性腫瘍に対する治療は、近年、進歩したが、依然として不応例、晩期再発、耐性獲得など解決すべき問題も多い。腫瘍免疫におけるTILの重要性はこれまでの知見から明らかであるが、T細胞が腫瘍内に浸潤するメカニズム、さらには、腫瘍浸潤T細胞活性化の制御機構等について、その詳細は分かっておらず、特に、これらにGタンパク質共役型受容体がどのように関与しているか、解明すべきと考える。これらが解明できれば、抗腫瘍効果をもつ免疫担当細胞の腫瘍組織への集積性改善につながる可能性が期待され、既存治療の発展・効果向上、さらには新規治療に結びつく可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
まず、予定していたとおり、マウスに腫瘍を皮下注射することで、経時的に皮膚に腫瘍を形成・増大することが確認できており、腫瘍のマウスモデルが予定通り順調に行えている。さらに、形成された腫瘍を免疫組織学染色等により解析したところ、腫瘍内浸潤リンパ球が観察できることも確認できた。これらのことから、実験系が予定通り機能することが確認できており、経過はおおむね順調と考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、注目すべきGタンパク質共役型受容体を選定し、その機能解析を予定通りすすめる。細胞の浸潤には、遊走能が重要であるため、in vitroの実験であれば、細胞株などを使用して遊走実験、具体的には、遺伝子をノックダウンしたり、過剰発現させたりすることで、その受容体の遊走能における役割を検討する。in vivoであれば、可能ならノックアウトマウスの入手も行い、組織評価やフローサイトメトリーによる評価を計画する。受容体に対するリガンドが知られている場合には、腫瘍におけるリガンドの測定や発現の局在も調べる。これらの結果をもとに、臨機応変に計画を見直し、必要であれば予定を変更し、得られた結果が包括的に理解できるように更なる実験を計画していきたい。
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