2019 Fiscal Year Annual Research Report
Rubiconによる心臓オートファジーの制御機構解明と創薬への応用
Project/Area Number |
19K21327
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
種池 学 大阪大学, キャンパスライフ健康支援センター, 助教 (30609756)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 心不全 / オートファジー |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞内分解系として細胞内恒常性を維持し、細胞保護的な役割を有するオートファジーは、心筋細胞においても心臓の機能や構造を維持するために重要であることが報告されている。本研究ではオートファジー抑制分子であるRubiconを中心とした解析を行うことにより、オートファジーによる心筋細胞内恒常性維持のシステムについての基礎的検討を行い、新しい心不全治療の開発につなげることを目的とした。 心筋細胞特異的Rubicon欠損マウスの表現型は、野生型と比較して、明らかな差を認めなかった。そこで圧負荷手術を施行したところ、Rubicon欠損マウスは心不全を呈することが明らかとなった。この結果は、Rubiconの欠損によりオートファジーが活性化し、心不全の表現型が改善される、という当初の仮説とは異なる表現型であり、Rubiconがオートファジーとは異なるメカニズムで心臓保護作用を有する可能性があることが示唆された。 Rubiconの役割の一つとしてエンドサイトーシスを抑制すること、また、心不全では心筋細胞膜上に存在するβ受容体が減少することが知られている。Rubiconノックアウトマウスの心臓において、野生型に比べて、圧負荷後にβ受容体が減少していることを確認した。また、ラット新生児単離初代培養心筋細胞においてRubiconをノックダウンすると、β刺激後のβ受容体減少が促進されることを確認した。これらの結果より、Rubiconはエンドサイトーシス性分解を抑制し、β刺激後にダウンレギュレーションを受けたβ受容体をリサイクルして細胞膜上に戻すことにより、心筋細胞膜上のβ受容体を維持するという、心臓保護的作用を有することが示唆された。これまで、心不全においてβ受容体が減少するメカニズムは明らかになっておらず、その一端を明らかにした本研究は今後の心不全治療開発に重要な意味を持つと考えられる。
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