2019 Fiscal Year Annual Research Report
糸球体上皮細胞特異的転写因子MafBによる慢性腎臓病への治療応用
Project/Area Number |
19K21330
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
臼井 俊明 筑波大学, 医学医療系, 講師 (50825099)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 糸球体上皮細胞 / MafB / 転写因子 / 慢性腎臓病 / 巣状分節性糸球体硬化症 / 誘導剤 / atRA |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、① MafB を糸球体上皮細胞に過剰発現させることで、巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)発症に対して保護的に働くかを調べること、② 有効なMafB 誘導剤を選定すること、③ MafB誘導剤がFSGSモデルマウスに対する保護作用があることを示すことである。 ① ネフリンプロモーターを用いた糸球体上皮細胞特異的MafB 過剰発現(TG)マウスを作製し、TGマウスの単離糸球体では、MafBの発現量が野生型(WT)マウスより増加していることを確認した。FSGSモデルとして知られるアドリアマイシン腎症を誘導したところ、TG マウスで腎障害が軽減し、尿蛋白量が減少した。MafB を糸球体上皮細胞に過剰発現させることで、FSGSに対して保護的に働いていることが確認できた。 ②我々は、マクファージの培養細胞株でMafB誘導作用が知られているRARのアゴニストがMafB を誘導することを過去に報告している。しかし、糸球体上皮細胞でMafB の誘導が可能かは不明であった。そこで、RARのアゴニストであるオールトランスレチノイン酸(atRA)により、マウスの糸球体上皮細胞株において、atRAの濃度依存性にMafBの発現量が増加することを確認した。 ③ WTマウスにアドリアマイシン腎症を誘導し、MafB 誘導剤であるatRAを投与したところ、単離糸球体のMafbの発現量が上昇した。また、atRA投与群のマウスで尿蛋白が減少しており、糸球体の硬化病変の軽減も認められた。MafBが転写を制御しているNephrinの発現量低下もatRA投与群で軽減されていた。 以上の内容を含む研究成果は、国際学術雑誌Kidney International(査読有り)に投稿して、2020年2月28日にAcceptされ、今後、論文掲載予定である。
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