2018 Fiscal Year Annual Research Report
二次免疫応答における骨髄血管内皮細胞による記憶T細胞の活性化機構の解明
Project/Area Number |
18H06232
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
伊藤 健 京都大学, iPS細胞研究所, 特定拠点助教 (60825941)
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Project Period (FY) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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Keywords | 骨髄 / 骨髄血管内皮細胞 / 記憶T細胞 / 抗原提示 |
Outline of Annual Research Achievements |
免疫記憶とは、過去に感染した病原体に再度感染した際、その病原体を速やかに排除するために必須の免疫防御機構である。ナイーブT細胞は、抗原刺激を受けた後、記憶T細胞になり全身を循環するとともに、骨髄に多く集積する事が知られている。しかし、脾臓やリンパ節のような二次リンパ組織とは異なる組織構造を成し、造血臓器である骨髄において、記憶T細胞はどのように活性化するのかは、十分に明らかになっていない。そこで、本研究では、骨髄中の記憶T細胞が、二次免疫応答の際にどの細胞から抗原提示を受けて、どのように活性化するかを明らかにすることを目的とした。本研究では、これまでに主に下記の2点について明らかにする事ができた。 ①骨髄血管内皮細胞は、血中の抗原を効率よく取り込む マウスに蛍光標識した可溶性タンパク抗原を静脈注射したところ、そのシグナルは骨髄中の樹状細胞やマクロファージだけでなく、血管内皮細胞にも強く認めた。この結果は、骨髄においては、既知の抗原提示細胞だけでなく、血管内皮細胞にも抗原が集積する事を示唆する。 ②骨髄血管内皮細胞は、抗原提示能を有する。 骨髄血管内皮細胞を初代培養する系を確立し、記憶CD8+T細胞を共培養を行ったところ、特異抗原の存在下において、記憶CD8+T細胞が増殖した。この結果は、骨髄血管内皮細胞が記憶CD8+T細胞に抗原提示を行う機能がある事を示す。 これらの結果は、骨髄においては血管内皮細胞も抗原を取り込み、記憶CD8+T細胞を活性化する機能を有する事を示唆するものである。今後、in vivoでのこの機能が発揮されるかどうか、さらにこの機能が免疫応答のどの局面で重要であるかを明らかにする予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
骨髄血管内皮細胞が抗原取り込み能、およびCD8+記憶T細胞に対して抗原提示能を持つ事について、少なくともin vitroの実験において示す事ができた。
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Strategy for Future Research Activity |
骨髄血管内皮細胞がin vivoでもCD8+記憶T細胞に抗原提示をしうるかどうかを明らかにするとともに、その免疫学的な意義についても検討を行う。
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