2020 Fiscal Year Annual Research Report
二次免疫応答における骨髄血管内皮細胞による記憶T細胞の活性化機構の解明
Project/Area Number |
19K21331
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
伊藤 健 京都大学, iPS細胞研究所, 特定拠点助教 (60825941)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 骨髄 / 血管内皮細胞 / 記憶T細胞 / 抗原提示 |
Outline of Annual Research Achievements |
骨髄は、造血臓器であると同時に、記憶T細胞や形質細胞の長期間の維持も担う免疫学的にも重要な臓器である。しかし、骨髄中に存在するT細胞がどのように抗原に対して応答しているかは十分に明らかになっていない。本研究の目的は、骨髄の微小環境を構成する血管内皮細胞の新たな機能に着目することで、骨髄中の記憶T細胞がどのように応答するかを明らかにすることである。本研究では、これまで下記の点について明らかにすることができた。 ①骨髄血管内皮細胞は、血中の可溶性外来抗原を効率よく取り込む事ができる:蛍光標識した可溶性タンパク抗原をマウスに静脈注射したところ、そのシグナルは骨髄中の樹状細胞やマクロファージだけでなく、血管内皮細胞にも強く認めた。この結果は、骨髄においては、既知の抗原提示細胞だけでなく、血管内皮細胞にも抗原が集積する事を示唆する。 ②骨髄血管内皮細胞は、抗原提示能を有する:骨髄血管内皮細胞を初代培養する系を確立し、記憶CD8+T細胞を共培養を行ったところ、特異抗原の存在下において、記憶CD8+T細胞が増殖した。この結果は、骨髄血管内皮細胞が記憶CD8+T細胞に抗原提示を行う機能がある事を示す。 これらの結果は、骨髄においては血管内皮細胞も抗原を取り込み、抗原提示細胞として記憶CD8+T細胞を活性化する機能を有する事を示唆するものである。今後、in vivoでも、この機能が発揮されるかどうか、さらにこの機能が免疫応答のどの局面で重要であるかを明らかにする予定である。 なお、本研究では①に付随し、Fcγ受容体IIbを発現する骨髄の血管内細胞が、エリスロポエチン刺激を受けることで、血中の可溶性免疫複合体を取り込む機能を発現すること、それにより体内の免疫複合体の効率的な除去に貢献していることも明らかにした。
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Research Products
(4 results)