2019 Fiscal Year Annual Research Report
大動脈瘤に対するマクロファージ特異的FAK阻害療法の開発
Project/Area Number |
19K21340
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
原田 剛佑 山口大学, 医学部附属病院, 助教 (60650322)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 大動脈瘤 / マクロファージ / Focal Adhesion Kinase |
Outline of Annual Research Achievements |
大動脈瘤は破裂による突然死を来たし、高齢者男性死因の上位を占める臨床上重要な疾患である。破裂死防止のためには侵襲的な外科的治療法しかないため、非侵襲的治療法、特に薬物療法の開発が切望されている。研究代表者は、これまでの研究においてマクロファージにおけるfocal adhesion kinase (FAK、接着斑キナーゼ)の活性化が大動脈瘤の炎症と組織破壊の原因であることを発見した。本研究の目的は、マクロファージ特異的にFAK阻害効果を発揮できる薬剤を開発することである。そのために、令和元年度までに以下の計画を実施した。 【計画. FAK 阻害効果を有する微小粒子製剤の作製】 FAK 蛋白を特異的に欠失できる微小粒子を作製し、その効果を培養マクロファージで確認する計画である。まず、野生型雄マウス腹腔由来の培養マクロファージ実験系を確立した。すなわち、LPS等の炎症刺激でFAK活性化並びに瘤関連炎症分子が亢進することと、それが既存のFAK阻害剤で抑制されることを確認した。また、マクロファージがラテックス微小粒子を貪食により細胞内に取り込むことも確認した。次に、抗体を培養マクロファージ内に導入し、抗体の標的蛋白の分解促進を可能とする実験系の確立を目指して、各種条件を検討した。具体的には、抗体トランスフェクション試薬を含む各種抗体導入方法や、抗体の種類・濃度等の条件を変えて、マクロファージ内への抗体導入効率並びに抗体の標的蛋白の発現抑制効果を測定した。また、ラテックス微小粒子に抗体を結合させて、抗体含有微小粒子の作成を試みた。 先行研究(Clift D et al, Cell 2017)で報告された方法で、培養マクロファージ内へのFAK抗体導入による標的蛋白の阻害を目指し、実験条件の最適化を試みたが、報告されたほどの阻害効果を確認することはできなかった。
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