2018 Fiscal Year Annual Research Report
高齢不妊の革新的治療法開発のための胚の老化誘導因子CXCL5の解明と妊娠率の改善
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18H06258
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
川越 雄太 国際医療福祉大学, 医学部, 研究員 (10609077)
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Project Period (FY) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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Keywords | CXCL5 / 老化 / 着床能改善 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、着床前期胚の老化誘導因子CXCL5を抑制することによる胚の質改善効果の検証を目的として研究を行なっている。予備実験ではCXCL5を作用させた若齢マウス胚の妊娠率が低下することを確認しているが、まずはその原因の解明をin vitroの実験系を用いて行った。胚盤胞を3%のFBSを添加した培養液で培養するとディッシュの底面に接着した後、トロホブラストが伸展するが、CXCL5を作用させた若齢マウス胚は、ディッシュ底面へ接着した胚数と、トロホブラストが伸展した胚数の減少は見られなかった。しかし、伸展したトロホブラストの細胞数および伸展面積は対象群と比較して有意に低下することを確認したため、CXCL5を作用させた胚では接着後の細胞増殖と子宮内膜への浸潤に影響が現れると考えられた。また、老化マーカーの発現量の上昇も認められた。細胞増殖能およびミトコンドリア機能の評価に関しては、次年度に行う予定である。 次に、高齢マウスの胚を用いてCXCL5シグナルを抑制することで着床能が改善するか否かの検証を行った。43~53週齢のマウス胚をCXCL5の中和抗体を添加して培養した場合の妊娠率改善効果はすでに確認しているので、本年度はCXCL5の中和抗体に加え、そのレセプターであるCXCR2を抑制する低分子化合物を用いて妊娠率改善効果を確認した。その結果、CXCR2を抑制した場合もCXCL5の中和抗体と同程度の妊娠率改善効果が認められた。また、移植胚数に対する生産仔の獲得率も向上していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当研究は高齢マウスを用いた研究であり、研究の遂行には多数の高齢マウスが必要である。使用予定の週齢の高齢マウス(43~53週)の確保のためには動物施設における長期間の飼育が必要であるが、当学の動物飼育施設の稼働が大幅に遅れているため、長期間飼育が難しく研究が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究により、CXCL5シグナルを抑制することで高齢マウスでも妊娠率の改善が認められた。今後は、さらなる成績の改善のために、抑制に使用する抑制剤の検討や抑制濃度の検討を行う。また、将来的な臨床応用に向けて、シグナル抑制の安全性に関しての評価を若齢マウス、高齢マウス胚を用いて行う予定である。
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