2019 Fiscal Year Annual Research Report
高齢不妊の革新的治療法開発のための胚の老化誘導因子CXCL5の解明と妊娠率の改善
Project/Area Number |
19K21351
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
川越 雄太 国際医療福祉大学, 医学部, 研究員 (10609077)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 高齢不妊 / 老化 / CXCL5 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は着床前期胚の老化に伴う質の低下を改善する治療方法の開発を目的として一連の研究を行った。前年度のマウス胚を用いた動物実験の結果により、炎症性サイトカインの一つであるCXCL5が胚に作用することで若齢マウス胚のトロホブラストの細胞増殖能に影響が現れることを確認した。また、43~53週齢の高齢マウス胚が分泌するCXCL5を中和抗体およびそのレセプターであるCXCR2を抑制する低分子化合物を用いて妊娠率改善効果を確認したところ若齢マウス胚と同等の妊娠率が得られた。また、産仔獲得率も増加した。そこで本年度は、将来的な臨床応用を念頭に、CXCL5シグナル抑制の高齢マウス胚に対する安全性の評価を行なった。 CXCL5シグナルを抑制した高齢マウス胚を体外受精して得られた産仔での異常の有無を確認した。その結果、産仔の体重、胎盤重量は若齢マウスと比較して差は認められなかった。また、産仔の外見的異常、行動異常も認められなかった。さらにシグナル抑制の遺伝子発現への影響を調査する目的で、若齢マウス胚、高齢マウス胚、CXCL5シグナル抑制高齢マウス胚の3群での遺伝子発現プロファイルをマイクロアレイを用いた網羅的解析により比較した。その結果、CXCL5シグナル抑制高齢マウス胚の遺伝子発現プロファイルは若齢マウス胚の遺伝子発現に類似していくことが確認された。また、CXCL5シグナル抑制をした高齢マウス胚では細胞増殖に関するシグナル伝達経路が活性化することも確認された。これらの結果よりCXCL5シグナル抑制は胚への安全性に影響はなく、高齢マウス胚の細胞増殖能を改善することで妊娠率の増加につながっていることが確認された。
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