2018 Fiscal Year Annual Research Report
甲状腺未分化がん発生機構の解明と新たな治療選択の開拓
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18H06260
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
柴田 博史 岐阜大学, 医学部附属病院, 助教 (20610421)
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Project Period (FY) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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Keywords | 甲状腺癌 / 未分化癌 / エピゲノム / MAPキナーゼ / 脱分化 |
Outline of Annual Research Achievements |
がんは発生元の細胞形質を残した高分化がんから、発生元の細胞形質を完全に喪失し幼弱な状態に近くなった未分化がんまで、種々の分化度をもつ。臨床的に最も悪性度の高いがんの一つである甲状腺未分化がんも非常に幼弱な細胞集団から構成されている。過去の報告より、ある種の未分化がんではES細胞、iPS細胞などのいわゆる多能性細胞と近い性質をもつことが報告されている。甲状腺未分化がんにおいても、これら多能性遺伝子群の発現を検討することで、未分化転化や高い悪性度のメカニズムが解明でき、新たな治療に繋がる可能性があると考えた。 本研究では特に悪性度が高く臨床的な重要度も高い甲状腺未分化がんの発生に対する脱分化の意義、多能性関連遺伝子群の発現状況について臨床検体を用いて検討する。さらに公共マイクロアレイのデータベースを改変し、甲状腺未分化癌における多能性関連遺伝子群の発現状況を検討することを目標とした。 購入物品を用いて、まずは甲状腺未分化がんの臨床サンプル(病理組織)における多能性遺伝子群の発現状況を検討する。申請者は岐阜大学耳鼻咽喉科医局に在籍し、手術加療も行っているため、甲状腺がん臨床サンプルにアクセスしやすい状況にある。患者手術検体からDNA, RNA,パラフィン切片、セルラインを樹立できるよう当大学に倫理申請済みである。 遺伝子発現状況については適宜公共マイクロアレイのデータを改変して検討することを検討する。Genespring など遺伝子発現解析ソフトを用いて多能性細胞と甲状腺未分化癌の遺伝子発現状況を検討する予定であり、すでに着手している。多能性関連タンパクの発現状況については、臨床検体に対し多能性関連遺伝子群の免疫染色を行い検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
申請者は所属研究室で病理検体の染色、遺伝子発現解析、セルラインの樹立などを行う環境を確立した。申請者は手術加療も行っているため、甲状腺がん臨床サンプルにアクセスしやすい状況にある。患者手術検体からDNA, RNA,パラフィン切片、セルラインを樹立できるよう当大学に倫理申請済みである。 しかし、甲状腺未分化がんは発生数が少ないため、新たな症例を得ることは容易ではない。同大学の他科に入院する可能性もあるため、そのような場合には適宜サンプル採取できるような協力体制を整えてあり、倫理申請認可済である。どうしても腫瘍組織が採取できない場合はATCCから発売されている未分化がんセルラインを購入して解析をする予定である。また臨床サンプルの場合、nが少ないと遺伝子発現のばらつきが大きくなるため、解析を困難としている一因でもある。
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Strategy for Future Research Activity |
疾患の発生数が少なく、解析が困難であることを補うため、遺伝子発現状況については適宜公共マイクロアレイのデータを改変して検討する。Genespring 遺伝子発現解析ソフトを用いて多能性細胞と甲状腺未分化癌の遺伝子発現状況を検討する予定であり、すでに着手している。現在は臨床データ、公共データを統合して、発表できるデータを蓄積しているところである。
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Research Products
(4 results)