2019 Fiscal Year Research-status Report
てんかん関連ネットワークにおける神経活動の解析と外科的治療への応用
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19K21353
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
クー ウイミン 大阪大学, 医学系研究科, 特任助教(常勤) (70591022)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | てんかん / 脳波fMRI同時計測 / 外科的治療 / 頭蓋内脳波 / てんかん関連ネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
大阪大学医学部附属病院の倫理委員会に承認を得て、外科治療を検討中の難治なてんかん患者を前向きにリクルートした。2020年までに計7名の患者に同意を得て、脳波-fMRI同時計測を行った。MRI同時計測下の脳波は非常に雑音が多く、振幅の低いてんかん性放電は検出が困難なことが多いが、研究代表者らが確立した独自の方法を既存の雑音除去法に加えることで雑音の少ない脳波を得て、振幅の低いものを含め脳波上のてんかん性放電のタイミングの同定に成功した。それらにもとづいてモントリオール神経科学研究所で確立された画像解析プログラムfMRIstatを用いてfMRI画像を解析し、てんかん性放電のある時間帯とない時間帯の脳血流変化を画像化し、てんかん関連ネットワークの描出に成功した。現時点で7名のうち2名の患者に対し、外科的治療を行った。脳波-fMRIで描出されたてんかん関連ネットワーク画像より得られた情報を加える前後の治療計画を比較した。脳波-fMRI同時計測の解析で得られたてんかん関連ネットワーク画像は2名とも外科的治療の計画を立てる際に必要となる頭蓋内電極の留置部位の位置指標となり、てんかん発作の焦点と伝播経路を同定に寄与した。また、2名はともてんかん関連ネットワーク画像の各領域は頭蓋内脳波で検出された発作の伝播経路と共通点が確認され、脳波-fMRIの解析で発作の伝播経路が推定できる可能性が示唆された。てんかんネットワークに基づいた外科的治療の有用性に関してはまだ症例数が少なく、症例数を増やして評価する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の交付が決定される前より脳情報通信融合研究センターの研究者と話し合い、本研究への協力および脳情報通信融合研究センターにあるMRI対応の脳波装置の使用の内諾を得た。当該研究施設における安全委員会の承認は予想以上に審議は時間を要し、令和1年5月に承認された。一方、本研究課題は患者を対象としており、研究を開始するまでに病院の倫理委員会による承認が必要で、平成31年2月に承認された。事前準備実験(脳波装置とMRIの条件設定)は本研究課題予定通りに施行し、令和1年5月より当院に受診あるいは入院した患者より難治なてんかん患者をリクルートし、月に約1人ペースで脳波-fMRI同時計測を行った。令和2年5月の時点で計7名で8回計測した(うち1名は2回計測した)。 MRI同時計測下の脳波は非常に雑音が多く、振幅の低いてんかん性放電は検出が困難なことが多いが、雑音の少ない独自の脳波-fMRI同時計測法を確立した。その上、カーボンループにより、非生体信号を同時に計測し、回帰法で脳波上の雑音を除去し、振幅の低いものを含め脳波上のてんかん性放電のタイミングの同定に成功した。モントリオール神経科学研究所で確立された画像解析プログラムfMRIstatを用いて、一般線型モデルで脳波上のてんかん性放電のタイミングに基づいたfMRI上のBOLD信号変化を検出し、てんかん関連ネットワークを画像化した。患者では治療方針を検討する際に得られたてんかん関連ネットワークの画像を提示し、その前後の治療方針を記録した。また、外科的治療を行った2名の脳波-fMRI同時計測の解析画像を頭蓋内脳波の電極位置と重畳し、てんかん発作の伝播経路と比較検討した。2名はともてんかん関連ネットワーク画像の各領域は頭蓋内脳波で検出された発作の伝播経路と共通点が確認され、脳波-fMRIの解析で発作の伝播経路が推定できる可能性が示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
てんかんネットワークに基づいた外科的治療の有用性を評価する上で、まだ症例数が少なく、症例数を増やしていく予定である。 新型コロナウイルスの拡大防止のため、脳情報通信融合研究センターが4月より利用できなくなったため、脳波-fMRI同時計測が一時休止された。その対策として、当院放射線科と話し合い、病院の3テスラMRIを活用することに承諾を得た。MRI対応脳波計を脳情報通信融合研究センターより貸し出し、病院のMRIによる計測が可能になるようにセットアップおよび条件設定しているところである。ただし、病院のMRIは臨床利用が優先で、本研究で計測可能な人数は限定的である。 また、手術症例数を増やす目的に、他院てんかんセンターによる協力も依頼し、病院の倫理委員会の変更手続き(他施設共同研究への変更)を開始した。
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Causes of Carryover |
病院の倫理委員会と脳情報通信融合研究センターの安全委員会による研究の承認が大幅遅れているため、研究の開始が遅れた。承認後に一旦実験は概ね順調に進行したが、新型コロナウイルスの感染拡大による影響で、一時的に実験が休止となったためさらに研究の遅れが生じた。本研究の目的であるてんかんネットワークに基づいた外科的治療の有用性を評価するために、症例数を増やしていく必要があり、次年度まで本研究を続けるために、次年度使用額が生じた。
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[Journal Article] Association of Cortical Stimulation-Induced Seizure With Surgical Outcome in Patients With Focal Drug-Resistant Epilepsy.2019
Author(s)
Cuello Oderiz C, von Ellenrieder N, Dubeau F, Eisenberg A, Gotman J, Hall J, H; AS, Hoffmann D, Job AS, Khoo HM, Minotti L, Olivier A, Kahane P, Frauscher B
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Journal Title
JAMA neurology
Volume: 76(9)
Pages: 1070-1078
DOI
Peer Reviewed
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