2018 Fiscal Year Annual Research Report
Development of innovative combined cancer immunotherapy using immune checkpoint blockade for digestive cancers
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18H06267
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
岡野 慎士 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 准教授 (10380429)
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Project Period (FY) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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Keywords | 癌免疫療法 / 免疫チェックポイント阻害剤 / 癌集学的治療 / 癌抗原特異的T細胞 / 癌ゲノム不安定性 |
Outline of Annual Research Achievements |
マウス固形癌(口腔癌、大腸癌)を用いた腫瘍皮下接種モデルにおいて、標準的化学療法と抗PD-1抗体併用療法の奏功性と最適な投与量・時期を検討した。本研究で利用した大腸癌細胞株CT26は抗PD-1抗体療法の効果が得られにくい非DNA mismatch repair (MMR)欠損大腸癌で、腫瘍上のPD-L1の発現も確認した。5-10mm以上の固形癌形成後に、大腸癌に関してはFOLFIRI療法(5-フルオロウラシル、ホリナート、イリノテカン)及び抗PD-1抗体を投与した。化学療法後、免疫原性細胞死時に上昇するhigh-mobility group box 1 (HMGB1)が有意に上昇し、それと同時に、in vitroでの腫瘍特異的な細胞傷害(CTL)活性を認めた。化学療法後に抗PD-1抗体を投与することによって、腫瘍内にIFN-gamma産生性のCD4及びCD8T細胞が劇的に上昇すること、化学療法がない場合、抗PD-1抗体による有意な腫瘍特異的CTL活性の誘導やIFN-gamma産生性T細胞応答の上昇が全く見られなかったことから、抗PD-1抗体の投与前に化学療法を施行する必要があることが判明した。T細胞が欠損しているヌードマウスでは、抗PD-1抗体の抗腫瘍効果が認められなかったことにより、この抗腫瘍効果はT細胞に依存すること、また、化学療法によって惹起されたT細胞応答が生体内で抗腫瘍効果を発揮するためには、この抗PD-1抗体投与が必須であることが判明した。治療後の腫瘍細胞を回収し、PD-L1発現を検討したところ、化学療法後にPD-L1発現の上昇を認めたことより、化学療法によって惹起されたT細胞応答によって、adaptive resistanceが増強され、そのため、化学療法単独ではT細胞応答による抗腫瘍効果が得られにくくなっていると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
化学療法による免疫原性腫瘍細胞死の誘導と腫瘍特異的CTLの誘導、その後の抗PD-1抗体による腫瘍内IFN-gamma産生性CD4及びCD8T細胞の劇的な上昇と抗腫瘍効果増大が確認されたことにより、当初の予想通りの基礎免疫学的原理にあった投与タイミングが重要であることが判明した(実験材料等の調達及び腫瘍特異的T細胞作製の遅延により、フローサイトメーターによる全生体内の腫瘍抗原(大腸癌の場合はMuLV gp70)特異的T細胞の定量が若干遅れている)。また、immunologic synthetic lethalityを誘導する標的分子として、活性化されたT細胞の疲弊化を防ぐ可能性も期待して、エピゲノム調節剤であり、抗腫瘍効果を惹起するHDAC阻害剤のQuinostatを併用したが、結果的にはT細胞依存性の抗腫瘍効果の有意な上昇が見られなかった。これに関しては、別の薬物を選択し、再度、腫瘍特異的T細胞応答及び抗腫瘍効果を検討していく。以上、初年度の研究計画として、がん免疫複合療法のレジメの原理原則の確立は検討できたことより、研究の進捗状況としておおむね当初の計画通りに進んでいるとした。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度も引き続き、マウス消化器癌モデルを利用し、各癌腫(口腔癌・大腸癌)の化学療法と抗PD-1併用療法を施行し、両者が与える腫瘍抗原特異的T細胞、腫瘍内微小環境、癌細胞への影響を検討する。(検討項目)i)標準的癌治療法・癌免疫複合療法前後のエフェクターT細胞{CD4 T 細胞(Th1, Th17, Th21)、細胞傷害性キラーCD8T 細胞 (CTL)、NK 細胞}の質的{IFN-gamma, IL-17, IL-21, TNF-alpha, IL-2などのサイトカイン産生能、PD-1, CD28, CTLA4, OX40, CD137, CD27, ICOS, TIM-3などの副刺激関連分子発現、CD62L, CD44, CCR7, CD95, CD127 などのメモリーマーカー(memory stem marker を含む)の発現、各サイトカインのプロモーター部のメチル化解析}及び量的変化(腫瘍内浸潤T細胞数、脾臓・所属リンパ節内のT細胞数、アポトーシス数)を検討する。ii) がん免疫複合療法前後での腫瘍内微小環境(腫瘍内微小血管密度、腫瘍内マクロファージ、腫瘍内樹状細胞、骨髄由来抑制性細胞)や抑制性T細胞(Foxp3+CD4T細胞やIL-10+Tr1細胞等)の質的量的変化。iii) がん免疫複合療法前後での、癌細胞の細胞周期解析、アポトーシス、stemnessに関わる分子のmRNA発現並びに機能解析を行う。 B. NOG マウス(NOD.Cg-Prkedcscid Il2rgtm1Sug/Jic)に坦癌患者より得られた癌細胞由来オルガノイドあるいは癌組織片を皮下接種し、「生体内癌免疫応答再構築in vivo モデル」を作製し、A のマウスモデルで得られた知見が、ヒトにおいても同様な結果が得られるかどうかを検証する。 C. Aで得られた現象の詳細な分子機序を解明する。
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Research Products
(3 results)